

【 制作の道のり】 本作はフィクションではありますが、執筆にあたっては、実在の大学生へのインタビューを行い、そこで語られたネグレクトの経験や極度の困窮状態での生活実態、性風俗での労働など、現代の若年女性が直面しているリアルな課題をベースに物語を構築しました。 「親から愛された記憶がない」「家に帰りたくなかった」「学費や生活費のために選択肢は他になかった」―― そうした言葉の一つ一つが、主人公・凛の言動や思考を形づくっています。 大学に通いながら風俗で働き、生きるためだけでなく学ぶことを諦めなかった女性たちの姿。彼女たちがどのような葛藤を抱き、社会の目とどう向き合っているのか。それを正面から描くことが、物語の核心だと考えました。 また、物語後半では、主人公が東南アジアで出会った少女たち――選択の自由すら持たず、売春に追い込まれていく存在――と出会うことで、かつての自分自身を重ね合わせ、「教育の力」によって人生を切り開こうとする姿を描いています。 貧困、性、家族、教育、そして社会からのまなざし。 それらに晒されながらも、懸命に「生」を選び取っていく女性の姿を通して、「どこまでが自己責任なのか」「本当に自由な選択とは何か」といった問いを読者に投げかけたいと思いました。 本作は「悲劇の物語」ではありません。 むしろ、苦難を乗り越えた先にある「再生と行動」の物語です。 読む人の心に静かに、しかし確かに残る何かがあることを願って、筆を置きました。

