

書籍|文庫判(A6) 130ページ 1,000円 2025/9/15(月)発行 西瓜のなかの骨、カスタード、旋律一 裂けた果実から流れ出す、甘く腐った言葉たちの詩集 ずっと、終わったあとみたいな空気が続いている。 まだ何も始まっていないはずなのに、 誰かがいなくなった気配だけが残っている。 「西瓜の日」は、その気配だけで立っている。 やわらかいものはすぐ死ぬ。 綿雪、蜜蜂、アイスクリーム、鳩、百合、幽霊。 ぬるい夏が続くたび、冷たいものばかりが増えていく。 誰も名前で呼ばれない。 誰も顔を見せない。 でも、どこかに“あなた”がいる。 自分の言葉じゃ足りなくて、誰かの歌詞や映画や祈りを引きずってくる。 喉に骨がひっかかったまま話すような詩たち。 あやまり方がわからない人の手紙みたいな詩たち。 水の中みたいな文体。 夢の途中で話しかけられるような温度。 笑いそうになる瞬間もあるけど、だいたい泣きそうになる。 でも泣くのはなんか違う。 そういう違和感のまま読み終えることになる。 正しさはとっくに置いてきた。 あるのは気配と断片と、うまく割れない西瓜だけ。 🍉🍉🍉 意味を排除してあなたのユートピアを濡らす 果汁が手首に滴る ー『西瓜の日』より

