

この冬最後の雪が降った日、ユキさんが死んだ。 ユキさんの死をきっかけに、ハルとまことの関係は揺らぎはじめる。 彼らはかつて、言葉を失った少女に"世界"を与えた少年と、その言葉に救われた少女として、強く結びついていた。 しかし、ユキさんという存在が彼らにとってどれほど歪んだ支えであったかが明らかになり、二人はその共依存に自覚的になっていく。 物語はハルの一人称で語られるが、彼はある真実を意図的に語らない"信頼できない語り手"であり、ユキさんの死と向き合う過程で徐々に暴かれていく。 人々が理想を投影し続けた"人格者"ユキさんは、実は"何者にもなれなかった"青年であり、その虚無はギターの音色という形でハルとまことに継承される。 ーー喪失と赦しの先に、語り手は「死者の音」を引き継ぐことができるのか。 【本の仕様】 A5サイズ、全59ページ 【おまけ】 無配ペーパー

