
A6サイズ304頁。 王都の議会から下された命令は、ただ一枚の紙だった。 ――西の砦奪還。 だが、その紙が現場へ届いた瞬間、命令は人を動かし、列を作り、名の薄い者たちを矢の前へ押し出そうとする。 騎士団長ジュダルは、その仕組みを見逃さない。 紙の正しさと、現場で失われる命。 その間に立つ彼は、命令を受けながらも、命令の形そのものを問い直していく。 一方、モネスとオーレンは、銅貨、食事、訓練、呼び名、そして小さな約束を通じて、兵でも騎士でもない者たちの足場を少しずつ作っていく。 制度の外側で生きてきた者たちが、制度の隙間に新しい回路を通し始める。 戦は、剣だけで起きるのではない。 紙で始まり、腹で動き、名前で縛られ、煙によって記憶される。 命令、金、所属、追悼。 「誰のものでもない者」が、誰かの未来を支え始める巻。
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