一軸送り機構で学ぶ 数理モデリングと制御 第1巻 1 自由度モデル編
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一軸送り機構で学ぶ 数理モデリングと制御 第1巻 1自由度モデル編 剛結合モデル・等価慣性・状態空間表現・状態フィードバック・PID制御 総ページ数:241p
【本書について】
本書は、一軸送り機構を題材として、機械系の数理モデリングと制御系設計の基本を学ぶための技術同人誌です。モータの回転運動がボールねじなどを介して直線運動へ変換される送り機構を対象に、物理モデルの導出から、状態空間表現、状態フィードバック制御、PID制御までを順に扱います。
【制御対象のモデルはどこから来るのか】
制御工学の教科書では、制御対象の伝達関数や状態空間モデルが、あらかじめ与えられた形で登場することがあります。しかし、実際の工学対象を扱うときには、そのモデルがどこから来たのか、係数がどの物理量を表しているのか、どの仮定のもとでその式が成り立つのかを確認する必要があります。本書では、この問いを出発点とします。
【一軸送り機構を題材にする理由】
一軸送り機構は、一見すると単純な機械です。モータが回転し、その運動がボールねじやベルトなどを介して直線運動に変換され、テーブルが移動する。しかし、この単純な構成の中には、回転運動と直線運動の変換、等価慣性、粘性摩擦、入力と出力の定義、フィードバック制御、定常偏差、実機とのずれといった、メカトロニクスシステムの基本的な論点が含まれています。
【第1巻で扱うモデル】
第1巻では、モータ側とテーブル側が理想的に剛結合していると仮定した、1自由度モデルを扱います。現実の送り機構には、弾性、摩擦、バックラッシ、入力飽和、センサノイズ、離散化誤差などが存在します。しかし、最初からそれらをすべて含めると、モデルの見通しは悪くなります。本巻では、まず送り軸全体を1つの自由度で表す基本モデルから出発します。
【単純なモデルから制御へ進む】
剛結合1自由度モデルは単純ですが、制御工学の基本を具体的な機械系と結びつけるための重要な近似です。ボールねじによる座標変換、回転慣性の等価質量への換算、粘性減衰の扱い、ラグランジュ方程式による運動方程式の導出を確認したうえで、そのモデルを状態空間表現や伝達関数へ接続します。
【式の意味を確認する】
本書は、公式を暗記するための本ではありません。式がどの仮定から導かれたのか、各項がどの物理量を表しているのか、そのモデルがどこまで使えて、どこから先で破綻するのかを確認することを重視しています。たとえば、 Meq x¨ + Ceq x˙ = F という式は、単なる2階微分方程式ではありません。その中には、座標の選び方、ボールねじによる換算、等価質量、粘性摩擦、入力の定義、無視した弾性や非線形性が含まれています。
【各章の構成】
【第1章 一軸送り機構とは何か】 一軸送り機構の基本構成、座標、力、トルク、自由度、モデル化の考え方を整理します。モータ、ボールねじ、テーブル、リニアガイド、エンコーダなどの構成要素を確認し、以後のモデリングで用いる物理量を定義します。 【第2章 ボールねじによる回転運動と直線運動の変換】 ボールねじのリード、回転角と直線位置の関係、速度と加速度の変換、推力とトルクの関係を扱います。また、回転慣性をテーブル側の等価質量として換算する方法、粘性係数の換算、単位と次元の確認を行います。 【第3章 解析力学による1自由度モデルの導出】 運動エネルギー、ポテンシャルエネルギー、散逸関数、一般化力を定義し、散逸を含むラグランジュ方程式から1自由度モデルの運動方程式を導きます。テーブル側座標とモータ側座標の対応も確認します。 【第4章 1自由度モデルの状態空間表現】 2階微分方程式を1階連立微分方程式へ変換し、状態方程式と出力方程式を導きます。状態変数、入力、出力の意味、可制御性、可観測性、伝達関数との対応を確認します。 【第5章 1自由度モデルの状態フィードバック制御】 状態フィードバック制御則、閉ループ状態方程式、閉ループ極配置、前置ゲインを扱います。極を配置することが、機械系の応答にどのような意味を持つのかを確認します。また、状態フィードバックとPD制御の関係にも触れます。 【第6章 1自由度モデルのPID制御】 P制御、PD制御、PI制御、PID制御を、1自由度送り軸モデルに対して整理します。各ゲインの物理的意味、定常偏差、微分ノイズ、積分飽和、状態フィードバックとの関係を扱います。 【付録と解答例】 付録には、第1巻で用いる記号一覧、ラグランジュ方程式の補足、状態空間表現の補足、通しの数値設計例、Pythonシミュレーションを収録しています。また、各章の章末問題に対する解答例も収録しています。本文を読むだけでなく、問題と解答例を往復することで、モデル化と制御設計の流れを確認できる構成にしています。
【想定読者】
本書は、制御工学を具体的な機械モデルと結びつけて学びたい方、ラプラス変換・状態空間表現・PID制御を物理モデルから理解したい方、メカトロニクス・ロボット工学・工作機械・精密位置決めに関心がある方を想定しています。また、3Dプリンタ、CNC装置、リニアアクチュエータなどの軸制御に関心がある方にも向いています。
【前提知識】
微分方程式、行列計算、ラプラス変換、基本的な力学、制御工学の初歩に触れた経験があると読みやすい内容です。ただし、必要な事項については本文中でも補足しています。すべてを一度に理解する必要はありません。まずは1自由度モデルの流れを追い、必要に応じて付録や解答例へ戻りながら読むことを想定しています。
【商品形式】
電子版には、PDF版とEPUB版を同梱しています。PDF版は、数式、図表、ページ構成を確認しながら読む用途に適しています。数式や図を正確に追いたい場合は、PDF版での閲覧を推奨します。EPUB版は、スマートフォン、タブレット、電子書籍リーダーなどで補助的に読むための形式です。閲覧環境によって、数式や図表の表示がPDF版と異なる場合があります。
【本書の位置づけ】
本書は、全3巻構成の第1巻です。第1巻では剛結合1自由度モデルを扱います。第2巻では、弾性結合を含む2自由度モデル、共振、反共振、二重センサフィードバック、ノッチフィルタを扱います。第3巻では、摩擦、バックラッシ、入力飽和、外乱オブザーバ、離散時間実装、パラメータ同定、鉛直軸と重力補償を扱います。第1巻だけでも、送り軸を1自由度系としてモデル化し、基本的な制御器を設計する流れを学べます。
【注意事項】
本書で扱うモデル、数式、数値例、プログラムは、教育目的の簡略モデルです。特定メーカーの設計指針や、実機設計の安全性、性能、信頼性を保証するものではありません。実機への適用にあたっては、対象装置の仕様、安全規格、機械的保護機構、リミットスイッチ、非常停止系、ブレーキ、フェイルセーフ設計などを別途確認してください。
【受注生産の物理本について】
本書は、電子版に加えて、受注生産形式の物理本も用意しています。物理本は、紙の本として手元に置き、数式や図表を参照しながら読み進めたい方向けの形式です。受注生産のため、ご注文から発送までに時間がかかる場合があります。物理本の仕様、発送時期、電子版の付属有無については、商品バリエーションの記載をご確認ください。














