Malliavin解析超入門-学部数学から始めるウィーナー空間からマリアバン微分まで
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目次 Contents 1 第 1 回:Euclid 空間の内積・勾配・方向微分 2 第 2 回:方向微分・Gâteaux 微分・Fréchet 微分 3 第 3 回:標準 Wiener 空間と Wiener 測度 4 第 4 回:可分性と稠密性 5 第 5 回:座標 σ-加法族と Borel σ-加法族 6 第 6 回:座標 σ-加法族と Borel σ-加法族 II 7 第 7 回:L2([0, T ]) と等正規ガウス過程 8 第 8 回:有限個のガウス座標と Gram–Schmidt 法 9 第 9 回:Cameron–Martin 空間 10 第 10 回:なぜ Cameron–Martin 方向に微分するのか 11 第 11 回:円筒汎関数の方向微分 12 第 12 回:なぜ Hilbert 空間と Riesz 表現定理を使うのか 13 第 13 回:Malliavin 微分の定義と DtF の意味 14 第 14 回:Malliavin 微分の基本計算 15 第 15 回:Hilbert テンソル積 I — 代数的テンソルと有限次元の類比 16 第 16 回:Hilbert テンソル積 II — 完備化・核表示・等長同型 17 第 17 回:高階 Malliavin 微分と対称テンソル 18 第 18 回:可閉性と D1,2 19 第 19 回:Malliavin 微分総合演習 20 第 20 回:解答と全体像 マリアバン解析を学びたい。しかし、参考書を開くと、Hilbert空間、Cameron–Martin空間、Wiener空間、テンソル積、Rieszの表現定理といった概念が、すでに知っているものとして次々に現れる。証明の途中では「容易に分かる」「標準的な議論により」と書かれ、肝心の式変形が省略されている――。本書は、そんな経験をした方のための入門書です。 本書の最大の特徴は、マリアバン解析を理解するために必要な学部レベルの数学を、一冊の中で振り返ることができる点にあります。実数ベクトルの内積、勾配、方向微分から始まり、距離空間、可分性、稠密性、測度論、Hilbert空間、Gram–Schmidtの直交化法、Rieszの表現定理、Hilbert空間のテンソル積へと進みます。そのうえで、Wiener空間、Wiener測度、Cameron–Martin空間、等正規ガウス過程、円筒汎関数、そしてマリアバン微分を導入します。別の解析学や関数解析の教科書を何冊も往復しなくても、必要な基礎を確認しながら読み進められる構成です。 標準的な専門書では数行で済まされる証明についても、本書ではできる限り行間を残しません。どの定義を使ったのか、なぜその等式が成り立つのか、どの定理を適用したのかを明示し、式変形を一行ずつ追えるように解説しています。特に、経路空間のBorel \sigma-加法族、Cameron–Martin空間を微分方向として選ぶ理由、Rieszの表現定理からマリアバン微分が得られる仕組み、Hilbert空間のテンソル積と二変数関数空間の同型など、初学者がつまずきやすい箇所を丁寧に扱います。 一方で、本書は数式だけを並べた本ではありません。「なぜ通常の方向微分では不十分なのか」「Brown運動の経路をどの方向へ動かせば確率測度の構造を保てるのか」「D_tF は何を測っているのか」といった問いに対し、図、有限次元の類似、具体例、よくある誤解を通して直感的な理解を促します。厳密な定義と証明を学びながら、その背後にある幾何学的・確率論的なイメージも同時につかむことを目指しています。 各章には豊富な練習問題を収録し、巻末には詳しい解答を付けました。公式を読むだけで終わらず、実際にマリアバン微分を計算し、定義や定理を自分で使える状態まで進むことができます。 本書は、確率解析や数理ファイナンスを学びたい学部生・大学院生、マリアバン解析に初めて触れる方、専門書を読んだものの証明の省略に苦労した方、そして一度学んだ数学の基礎を確認しながら体系的に学び直したい方に向けた一冊です。 基礎数学からマリアバン微分まで、公式をブラックボックスにせず、一歩ずつ理解する。 本書だけで学習を完結させることを目指した、初学者のためのマリアバン解析入門です。



