私には才能がない。何もない。あるのはただ惰性。惰性で長くやる。それだけだ。期待に背く事も、苦しさから逃れることも出来ない。そんな勇気はない。怖い。怖い。怖い……… 　 　加賀にとっては、日常さえ恐ろしい。身の丈を勘違いされた、それだけなのに、これほど恐ろしいことがあるだろうか。 　格上の赤城にも、後輩の駆逐艦たちにも、ばれたくはなかった。それだけの秘密が、加賀を苦しめる。 　ある日、加賀の鎮守府に後輩空母艦娘である瑞鶴がやってくる。彼女は奔放で才能溢れる娘だった。 　人生にはいろいろある。大人になる秘訣も、百花繚乱。 　その一つの手段は、身の丈をごまかすと云うこと。 　はじめ商店が描く艦隊これくしょん小説第1弾。 　身の丈をごまかす大人の加賀と、才能溢れる奔放な瑞鶴。その対照的な二人の物語。 　挿絵は天才的な筆致を持つhazi様が担当いたします！