書類は、人を縛るものじゃない。人を守るための、形なんだよ。
柿興市。駅前商店街の古いビルの一室にある、小さな事務所「代書屋いんく」。
主人公・朱野音九は、人生の岐路に立つ人々のもとを訪れ、その決意を書類という形に変えていく。夢を追う少女の契約書。再起を誓う父と娘の申請書。ひとつひとつの依頼の向こうに、誰かの人生がある。
万年筆の重み、踏切の音、商店街に差し込む夕焼け——日常の手触りをそのまま閉じ込めた、全9話の連作短編集です。
ページを閉じたあとも、しばらく物語の温度が手元に残るような、静かな読書時間をお届けします。