[ハルアベ] ありふれた日常に、恋をした。(残部僅少)
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2010/08/22発行/ハルアベ/オンデマンド/A5/表紙FC/P36/¥200 美丞大狭山戦後から西浦合宿前日までのお話。 阿部の怪我を切欠に、お互いがお互いを想い、考える。 何気ない会話が、2人にとって特別なものだった。
サンプル
「オレを頼ってくれ…ね」 布団に寝転がりながら、阿部は改めて三橋との会話を思い出していた。 見舞いに来た三人は、既に各自の家へと帰っている。栄口は夕飯前に、弟を待たせているからと帰り、残りの二人は、夕飯を食べた後帰って行った。阿部はその後、早めに風呂へ入り、今に至る。 『オレを頼ってくれ』 三橋に何があったのかわからないが、三橋の言葉は以前とは違っていた。それはたぶん、良い意味での変化なのだろう。たどたどしくも自分の意見を口にする三橋の姿は、阿部にとっては十分な成長だった。 『力合わせて、強くなろう!』 決意を新たに言葉を返せば、最高の笑顔と返事が返ってきた。 『うん!』 微笑んだ三橋に、阿部は驚きながらも、不意に榛名を思い出した。 「なんで、アイツのことなんて…」 そう思うが、あの時感じたことは、たぶん間違っていない。 「怪我して、ほされて…」 それでも、榛名は腐らずに、二ヶ月かけて怪我を治した。なのに、 「復帰したのに、またほされて…か」 西浦で、阿部が復帰してから榛名のように扱われることはない。人数がギリギリだということを除いても、監督がそういうことをするような人物ではないと、阿部も自信を持って言えた。単純に、榛名の運が悪かった、と言えてしまえばいいのかもしれないが、言えるはずもない。 「で、あの瞳と態度ね」 シニアで初めて会ったときの榛名の瞳や態度を思い出して、阿部は小さく息を吐いた。自分の身は自分でしか守れない、そう彼のすべてが語っていた。だが、それも仕方の無いことなのだろう。 ――もしもあの時、自分も今のような経験をした後だったら、もっと分かり合えることができたのだろうか? ふ、と湧いた疑問に阿部は首を振った。 たぶん、怪我をして焦る気持ちなどは共感できる部分があるかもしれないが、榛名があれだけ過剰な防衛反応を見せる根源は別のところにある。 「……考え違いか」 今更、榛名との思い出を変えることなどできないが、彼への考え方は改めるべきなのかもしれない。そう思いながらも、どこをどう改めればいいのかわからず、途方に暮れる。 榛名と話す必要があるのかな、とぼんやり思いながら、阿部は、強制的に思考を中断すると布団を被り、眠りについた。 怒涛の夏大会が駆け抜けていった。 そう感じたのは、眠りにつく間際のことだった。 ベンチから試合終了を見届けたときに、確かに感じた筈だったが、一日が終わるその時に、再び阿部の中にどっと押し寄せてくるものがあった。夏の終わりを告げる事実は、体に残る疲労感と左足に感じる鈍い痛みが教えてくれている。 夢ではないそれを、阿部は噛み締めるように瞼を閉じた。 (本文:P7,8)
