塗爪師とは、戦に駆り出される者の爪を塗ることで、身体強化の付与効果を与える者である。
しかし、それは女の仕事として評判で、対してススラハは男である。それゆえになかなか職にありつけずにいたが、ラフィリヤ騎士団から雇われることが決定する。雇い主は騎士団のティバルラだったが、彼から「私には塗爪は必要ないと思っている」と告げられる――。
「この御方におやすみと言えた人は今までにいたのだろうか」
「お前は塗爪師だ。それ以上にはなれない」
常に前を向き続けるススラハと、寡黙で不器用なティバルラが「塗爪」を通して互いを肯定し合うBL風味小説。