忌部氏再考 ― 記紀神話における表象と古語拾遺からの再評価 ―
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要旨(Abstract) 本稿は、古代日本の神祇祭祀に深く関与した忌部氏の歴史的位置づけと、彼らの神祇的役割が記紀神話においていかに扱われたかを再検討するものである。特に『古語拾遺』と『日本書紀』の記述を比較し、藤原不比等らによる記紀編纂の政治的意図によって、忌部氏および四国・房総などの地方神話が如何に軽視あるいは削除されたかを分析する。また、阿波国を中心とした忌部系神社と地域伝承の分布から、忌部氏が技術者集団として全国に拡散した実態を照射する。 Ⅰ. 序論 忌部氏(いんべし)は、記紀においては限定的にしか登場しない一方で、『古語拾遺』などでは重要な神祇氏族として大きく描かれている。彼らは天照大神の岩戸神話や天孫降臨において神宝・神衣の製作を担う存在であり、麻・木綿・玉・鏡といった神事具の供給を通じて、朝廷の祭祀を支えた。本論文では、記紀と古語拾遺の文献的対比を通じ、忌部氏の歴史的・文化的意義を再評価する。
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