NO2.5 Where My Hope Fell Apart ―― 希望が崩れ落ちた場所で
- Digital1,000 JPY

どれだけ願っても、どれだけ手を伸ばしても、 光は私の指先に触れてくれなかった。 触れられるはずだった。 いつかは届くと信じていた。 たとえ世界が崩れても、胸の奥でわずかに震えていた“あのぬくもり”だけは本物だと、ずっと思い込んでいた。 だけどそれは、 ただの勘違いだったのだろうか。 空から降り続ける絶望の雨が、 私の両手に残っていた最後の希望さえ 静かに、痛いほど静かに、洗い流していった。 救いを求めて胸の奥を掘り続けた指先は、 血が滲むほど擦り切れて、 それでも何も見つからなかった。 “私は、何を信じていたんだろう。” 震える問いは雨に紛れて、 答えが返ってくることはなかった。 膝をついた瞬間、 自分の中で何かが静かに折れる音がした。 それは骨ではない。 心でもない。 もっと深い場所、 言葉すら触れられない場所で、 “最後の何か”が崩れ落ちていく音だった。 冷たい雨が頬を伝う。 涙と混じって区別がつかなくなったころ、 私は本当に理解した。 ──もう、光は来ない。 ずっと探していたのに。 あんなにも信じていたのに。 手のひらに残っていたはずの“未来”は、 気づけば灰のように砕けて、 掌からこぼれてしまった。 指の隙間から落ちていくその感触が あまりに優しくて、 だからこそ余計に痛かった。 「もう一度だけ…」 そう呟こうとした声は、 絶望の雨に溶けて消えた。 この世界で、 もう私を必要とする光はどこにもない。 空を仰ぐ力も残っていない。 雨の冷たさだけが、 私の存在をかろうじて確かめてくれている。 希望を求めた者の末路は、 こんなにも静かで、 こんなにも残酷だったのか。 降り続ける絶望の雨の中、 私はただひとつの事実だけを抱きしめていた。 ──私は、光に会えなかった。 だから、ここで泣きながら終わるしかない。 その涙が地面に落ちるたび、 胸の奥に残る悲しみが 少しずつ、少しずつ形を失って 黒い世界に溶けていった。 もう、何も咲かない。 もう、何も救えない。 ただ、 “掴めなかった希望の痛み”だけが 私の最後の心臓の音として 静かに響いていた。
