複製原画 祝福
Physical (worldwide shipping)
複製画(プリモアート) - A4Physical (pixivFACTORY)17,000 JPY
複製画(プリモアート) - A2Physical (pixivFACTORY)35,000 JPY
複製画(プリモアート) - A3Physical (pixivFACTORY)25,000 JPY
Physical (ship to Japan)
複製画(プリモアート) - A4Physical (pixivFACTORY)17,000 JPY
複製画(プリモアート) - A2Physical (pixivFACTORY)35,000 JPY
複製画(プリモアート) - A3Physical (pixivFACTORY)25,000 JPY

複製画(プリモアート) - A4
複製画(プリモアート) - A2
複製画(プリモアート) - A36月の祝福 「何故こんなことに」 サンテネリ国王グロワス13世はまわりに聞こえぬよう、ため息をつく。 彼を取り囲むは四人の妃。正妃アナリゼ、ブラウネ、メアリ、ゾフィである。それぞれに純白のドレスをまとい、レースのベールを風になびかせている。暖かく、やや暑さも感じる6月の陽光に輝くドレスは、色とりどりの諸侯の奥方や令嬢のそれとは違い、華美ではない。それでも四妃の美しさを際立たせていた。ちなみにグロワス13世が着ているのは軍装にも似たシンプルな、同じく白を基調としたフロックコートである。 正教司祭の詔を聞いて大聖堂を出たグロワス13世は、嬉しそうな四妃に少し引き攣った笑顔を向けてもう一度ため息。 「どうしてこうなった」 ゾフィに聞かれたのだ。 「陛下は結婚式、といえばどんなドレスを思い浮かべられますか?」 と。知り合いでも結婚するのだろうか、と思って何も考えずに答えた。 「それは白ではないかな」 ゾフィは目を丸くした。しまった、サンテネリではウェディングドレスといえば白、なんて常識などなかった。むしろカラフルな衣装に身を包むのが慣例である。ぼくは、忘れかけていたぼくを思い出して、苦笑いする。 「それは素晴らしいです、陛下。ゾフィは思いもよりませんでした。質素でありながら荘厳、他の参列者の方とも違う色。これは早速お姉様たちに相談せねばなりません!」 それからしばらく王妃たちはなにやらこそこそやっているようだったが、仲良くしてくれるのは嬉しい。そう思っていた。 ドレスを見せられるまでは。 「ガイユール殿、これは」 「陛下、結婚式を挙げましょう」 推しの強いおじさんに言われるのは、なんだか怖い。 「結婚式?何故?あ、そうだ何故今そんな余裕はないだろう」 下級貴族を見捨てるという決断はしたが、少しでも救えるのであれば救いたい。ガイユールと王妃たちの笑顔がカンに障る。 「いえ陛下。今だからこそ、です」 降って湧いたような話であった。 冬の王、サンテネリ北部に大きな爪痕を残した大寒波も過ぎ、ようやく少し一息つけたところ。それでも傷は大きくまだ癒えぬ。民も北部の貴族も次の収穫までをいかに食い繋ぐか、それだけであった。 シュトロワに於いても対策に追われなけなしの国庫を開き、そして地方をある意味見捨てる形でなんとか平穏を取り戻しつつあるところだ。 「そんな金がどこにある。あるのであれば、再建に回すのが筋であろう」 ガイユール公爵は国庫を預かる身として、話にならんと大商人ブルノー「を睨んだ。 「いいえ公爵様。それ自体、再建に回したとしてもいかほどの助けにもなりますまい。小さくはございませぬが、大きな金でもない。それを以て貴族の皆様や民たちにに活力を与えて、ひいては将来的な経済の復興につなげるのが目的でございます。それは陛下にしか成し得ぬこと」 「お為ごかしは好かぬ。本音を言え」 ブルノーはやや締まりのない腹を撫でた。 「徳政令を出さぬ確約を頂ければ、此度は十分でございます」 徳政令。民や下級貴族が飢えた時、反乱を恐れた王たちにより過去に幾度も発令された借金の帳消しである。だが、それは諸刃の剣。貸す側は貸し渋るようになり、経済は停滞する。徳政令のほとんどが、その後の国の衰退につながることとなった。ゆえに、ガイユールは徳政令を考えていないし、それは主君であるグロワス13世も同じであった。 「ふむ。それが狙いか。それに、貴公らは国債を多く引き受けているからな、その価値を下げたくないのであろう?」 「は」 「わかった。陛下には申し上げておく。だが、陛下がどうされるかはわからぬぞ」 「英明なる陛下なら必ず、と信じておりますれば」 「それが結婚式、あ、いや、式は既に取り行っているから、披露宴に近いか。だと、ガイユール殿はいうのか」 「仰せの通りです、陛下。これは国威掲揚のための儀式です。冬の王に消沈した我がサンテネリの民、貴族、商人の意識を高揚させ、難局を乗り越えるための力にするのが目的です。そのためには陛下の意気をシュトロワに、サンテネリに見せねばなりません」 「言いたいことはわかるが」 「金、ですね。それはブルノーをはじめとする商人からの寄進を受けております。これは彼らの提案でもあるのです。なにより」 ガイユールは王妃たちを振り返る。 「ないがしろには、できますまい」 してやられた。外堀も内堀も、すでに埋められていたのだ。 「道化だね」 ため息ひとつ。 「陛下のそんなご尊顔を拝謁することが叶うとは、力を尽くした甲斐があるというものです」 式は滞りなく終わった。参列者は、自前でシュトロワまで来れる者のみ。豪華な祝宴も、飾り付けもなし。かかったのは警備(これが一番金がかかる、来賓を考えれば疎かにはできない)とドレスくらいなもので、それも寄進でお釣りが来る。だが、それでも幸せそうな王妃たちの笑顔を見れば、ぼくも道化を演じてもいいかな、と思えるくらいには幸せにはなれた。この後の重責を考えれば、同時に胃も重くなるというものだが。 参列者から、花びらが振り撒かれた。これはメアリさんのアイディアらしい。舞い上がる花びらに、前世で何度か参列した結婚式を思い出す。が、それよりも、ずっとずっとたくさんの祝福を受けているのを感じられる。 「今日一日くらいは、幸せに浸ってもいいのかもしれないな」 その時のぼくの笑顔は、久しぶりに打算や演技のないものだったろう。 翌日の新聞に大きく掲載された絵姿は、とんでもない美男子に描かれていたのには閉口したが。
発送予定日
- 複製画(プリモアート) - A4(A4 - 額縁・ホワイト)2026-08-27
- 複製画(プリモアート) - A2(A2 - 額縁・ホワイト)2026-08-27
- 複製画(プリモアート) - A3(A3 - 額縁・ホワイト)2026-08-27

