壊れた鼓動の証言 ~90歳の父が息をしていない。その知らせは、長年抱えた憎悪の終焉か、それとも新たな呵責の始まりか。~
- Digital385 JPY



静寂の夜、90歳を超える父の突然の死。第一発見者となった息子の浩介は、救急要請と心臓マッサージの極限状態の中で、長年抱き続けてきた父への深い憎悪と、そこから解放されるかもしれないという不謹慎な安堵感を抱く。警察の事情聴取や自宅捜査が進む中、認知症に翻弄された日々や家族の歪んだ葛藤が鮮明に蘇る。これは、憎悪の終焉を迎えた男が、自身の内なる闇と静かに向き合う心理サスペンスの物語である。
親の死を願った夜、警察が自宅にやってきた。認知症の父を介護した果てに息子が抱いたドス黒い感情の正体とは。衝撃の心理サスペンス小説が暴く、家族という名の病と誰もが背負う罪悪感の物語。今、あなたの心を揺さぶる禁断の証言が明かされる。
23時過ぎの静寂を切り裂く母の悲鳴。駆けつけたリビングの床には、90歳を超えた父が息絶えて倒れていた。心臓マッサージを続ける息子の浩介の手の下で軋む肋骨の音は、長年彼の心を蝕んできた父への激しい憎悪の記憶を呼び覚ましていた。認知症を発症して以来、家中のコンセントを抜き去り、家族の平穏を奪い続けた父。あまりの苦痛に家族の間で冗談めかして語られた殺意の芽生えが、今まさに現実の形をとって浩介の喉元に突きつけられる。 救急車の中で受け入れ先を探す無慈悲な無線音声と、病院への到着。そして、事態は思わぬ方向へと転がり始める。自宅に踏み込んできた警察と鑑識の冷静な視線は、浩介の心にある焦燥と怯えを浮き彫りにしていく。5年前の変死体発見の記憶がフラッシュバックし、自身の冷静すぎる対応が逆に不審を招くのではないかという恐怖が胸を締め付けた。事件性なしと判断されたその裏で、刑事の耳打ちが浩介の過去の傷口に鋭く食い込む。 父の死は、長かった介護地獄と憎悪の終焉を意味していたはずだった。しかし、警察の捜査が進むにつれて、浩介の心に広がったのは晴れやかな解放感ではなく、底知れない虚無感と、消えることのない罪悪感の影だった。果たして、父の壊れた鼓動が残したものは、平穏な日常への帰還なのか、それとも永遠に続く心の裁判の始まりなのか。人間の心の奥底に潜む闇と光をリアルに描き出す、魂を揺さぶる衝撃作。


