初めまして、忌まわしき恋敵さま!【ブルハイエル】
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2019年6月9日開催の『ようこそ!グランツライヒ王国へ!!3』にて頒布したものです。 イベント頒布価格と異なります。 <詳細> 同い年で同じ大学で恋敵な現パロ、ブルハイエル小説本です。年齢操作あり。 ・A5サイズ/28p
本文サンプル
目が合った瞬間に確信した。 おそらく、相手も同じ事を考えたであろう。 これは紛れもなく、嫌悪感だ。 「…取り敢えず、何処か別の場所へ移動しませんか?」 周りの視線が痛いので。 よもやこの状況を招いた本人が呆れた声でそう告げた。馴れ馴れしく肩に置かれた手を払い除け、彼はカフェテリアへの方へと歩き始める。それに従い、自分と睨み合っていた相手と共にその後姿を追いかけた。横目でその相手を観察する。銀髪、身長は自分より高めで清潔感のあるきっちりとした服装。よく見れば時計や鞄はブランド物で、その高貴さが伺える。その男は随分と自分の大切な幼馴染であるハイネに馴れ馴れしい様子であった。 「兎も角、お久しぶりですブルーノ様」 「ハイネ、此処は家では無いんだ。約束をしただろう?普通に呼んでほしい」 「…ブルーノ、三年ぶりですね」 「ああ。あちらの学校を卒業してからの帰国だったから三年と半年くらいだ」 「相変わらず細かいですね」 「あの、そろそろ彼を紹介していただいても?」 そう、三年と半年ぶりの再会である。 その感動をぶち壊すかのように、その男は話に割って入ってきた。珈琲片手にその長い脚を組み直す仕草も様になっている。 「別に貴方まで付いて来なくても良かったのですがね」 眼鏡のブリッジを上げる。そもそも、自分の目的は幼馴染のハイネに会うことだ。さも当たり前の様に付いてきたこの男の事はどうでも良い。 「そうですね。こちら、ブルーノ・グランツライヒ…様です」 「ハイネ…」 「仕方がないでしょう。外部ではそういう関係ですから」 「成る程、彼が」 「失礼だが、貴殿は?」 「随分と堅苦しい方なんですね。初めまして、私はエルンスト・ローゼンベルクと申します。恐らく、階級で言えば貴方よりは下になりますね」 よろしくお願いします。 階級が下だという割に、組んだ足は崩さない。食えない男だ。 「ブルーノ・グランツライヒだ。階級の事は気にしないでいただきたい。ハイネとは家族ぐるみの関係で、幼馴染にあたる」 「私の家系、ヴィドゲンシュタイン家は代々グランツライヒ家に仕えています。三男のブルーノ様には同じ歳である私が幼少期から使える様教育を受けているのですよ」 「親同士が勝手に決めた事だ。ハイネ、俺は立場なんて関係無く対等にお前と接しているつもりだが?」 「…そういう所も相変わらずですね」 「おや、案外嬉しそうではないですか」 滅多に動かない表情筋が働いていますよ。 エルンストはハイネの頬をその長い指で突く。馴れ馴れしい。目の前の珈琲を煽る様に飲み干し、席を立った。 「ブルーノ、何方に?」 「理事長室へ挨拶に伺う。明日からこの大学へ俺も通う事となっているからな」 「かしこまりました。私も共に」 「…いいのか?そちらの友人は」 「貴方が帰ってきた以上、私の最優先事項は貴方ですので。では、エルンスト。また明日、講義で」 「何時もよりも素っ気無さが三割増しでは?」 当たり前の様に友人と別れ、ハイネは自分の後ろを付いてくる。 自分が居なかった三年と半年。その空白の時間を、自分よりもハイネの側で過ごしていたのは、おそらくこの男であろう。ファーストネームを敬称無しで呼ばれた男。エルンスト・ローゼンベルク。軽口を叩き、友人としてハイネの隣に立てるこの男が少し羨ましく思う。だが。 それでも、ハイネの一番はまだ自分なのだ。 そんな小さな事に酷く安堵する。