あらすじ

笹木咲はいつも独りだった。 自分から友達を作ろうともせず、なるべく人との関わりを避けている。 ただ一人、椎名唯華を除いては――。 3月半ばを過ぎたその日、笹木は幼い頃の悪夢にうなされ寝坊してしまった。 気が進まないまま学校へ向かった道中で、椎名にそのことをからかわれる。 笹木は憎たらしく思いつつも、いつの間にか元気を取り戻していた。 通う学校こそ違うものの、椎名とのやりとりは笹木にとってかけがえのないものだったのだ。 そんな椎名が、笹木に内緒でなにやら怪しげなバイトを始めたらしい。 妙な胸騒ぎがして、なんのバイトなのかを突き止めようとするのだが……。 笹木はその先でいったい何を見たのか。 そして、椎名がバイト先から笹木を遠ざける理由とは? 二人の関係は今、ゆっくりと、そして確実に変わろうとしていた。