フイル=デュウ通り五十六番 カチュール・マンデス怪奇譚集
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『フイル=デュウ通り五十六番 あるいは ”我と我が身を苛む者” 』 188X年 巴里。 一財産をこしらえ引退した商人のシャルル・ブリュノアは老妻と共に悠々自適の暮らしを送っており、楽しみといえば新聞に連載されている探偵小説を読むことだった。ところがある日、凄まじい悪夢に苦しめられ、凄惨な一夜を過ごした彼の目に飛び込んできたのは、三面記事に掲載されたなんでもない殺人事件の記事だった。フィル=デュウ通りのいかがわしいホテルで娼婦が殺されたのだ。その事件に異様な興味を惹かれたブリュノアは。当初犯人だと思われていたヒモの無罪を直感し、誰からも頼まれていないのに、おっせかいにも独自の調査を開始してしまう。 愛読してきたガボリオらの小説に登場する「エドガー・ポーが産んだデュパンの鋭利な魂を受け継ぐ」探偵たちの顰に倣い、警察やマスコミの上手を取らんと捜査をするブリュノアは、神がかった推理力と直観により事件の真相に肉薄していく。だがその先に待ち受けていたのは、容赦のない狂気と恐怖であった! 探偵小説の勃興期 1895年に出版され、”探偵小説” なるジャンルへの先駆的批評を行った、知られざるアンチ・ミステリ中編小説を、ここに本邦初訳! 『その道の傍らに村が・・・・・・』 1870年 普墺戦争勃発前夜のミュンヘン。若き日のマンデスは、リラダン、サン=サーンスらとともにワーグナー『ヴァルキリー』の初演に立ち会う。鑑賞後、興奮冷めやらぬ一同は語り合いつつ街を散策するが、水の枯れた河を跨ぐ大橋を渡ったところで、思いもかけぬ怪事に遭遇するのであった・・・・・・ 狂王ルードヴィヒⅡ世の統べるバイロイト王国ミュンヘンの歴史的な一夜に起こった実体験を書いたという、奇妙に現代的な実話系(?)怪異短編を併せて収録する。本邦初訳。 フランス世紀末文壇に齢二十で登場し、詩から小説から戯曲から作詞までを手掛け膨大な作品を残した希代の才人の忘れられた二作品を紹介。 仏世紀末デカダン文芸から本邦の「エログロナンセンス」~「奇妙な味」を繋ぐ系譜の上に、いま新たな一冊が加わる! 収録作品 『フイル=デュウ通り五十六番 あるいは ”我と我が身を苛む者”』 ”Rue Des Filles-Dieu, 56, Ou l'Héautonparatéroumène” 『その道の傍らに村が・・・・・・』 ”Un Village prés de la route・・・ 訳者あとがき