国々を渡り歩く大サーカス団の歌姫の纏う舞台衣装。 団長の娘であった彼女がそのサーカスに属する事は半ば必然だと考えていた。 檻の様相をあつらえたその衣装はまるで彼女をそこに捉えて置くかのように思え、彼女自身はそれを忌み嫌っていた。 やがて、その苦悩からか声を壊し、自らの立つ舞台を失った時、彼女は自らの価値が歌にしかなかったと感じ、着ること無くなったそれを強く愛おしく想ったのだった。 しかし、彼女の父は、どこへ行くのも自由にしていい。だがたとえ歌えなくとも、いつであれここはお前のいてもいい場所だ、と声を無くした娘を慰めた。 彼女はそれを聞き、気づいた、檻の戸など初めから無かったのだと。 飛び立った鳥は世界を知り、やがて歌とともに舞い戻り、檻はその舞台衣装と共に立つ場所へと変わったのだった。 ---------------------------------- DOTORSO ◆ ACRYLIC STAND (～60×60) 購入特典に物語カードが付属します。