コンセプトストーリー

　マルコと付き合って初めての島デート。この島は真珠の産地らしく、街では宝飾品店が繁盛していた。 　持っているのは貴金属のアクセサリーばかりだから、真珠にはちょっと憧れがある。けどマルコはアクセサリーに興味ないよね、と思っていたら「見てみるか？」と気遣ってくれる。優しいよね。 　耳飾りに、ブレスレットに指輪など。たくさんの粒が連なった豪華なネックレスなどは特に圧巻で、目玉が飛び出るほどの値がついていた。そりゃそうだ、海に潜って苦労して貝を取ってきても、真珠が見つかるのは千個に一個の確立という。技術が発展した国なんかでは養殖が試みられているとも聞くけれど、それが成功して市場に出回るのはまだまだ先のことだろう。 　一年のほとんどを海の上で暮らしているけれど、そのぽちっとした小さな耳飾りを見つめていると、本当に海は不思議だと思う。貝の体に異物が入ったとき、自分の身を守るために作り出すのがこんなに美しい物質だなんて。海の神秘を思わせるようななめらかな白い輝きに、つい感嘆の息が漏れた。 「それが気に入ったのか、買ってやるよい」 「……えっ、あっ、そんなつもりじゃないの、つい見蕩れちゃって……！こんな高価なもの、わたしにはもったいないよ」 マルコはふっと笑って言った。 「真珠は人類が見つけた最初の宝石だ。昔の人は海の神秘を崇めてお守りにしたんだそうだ」 海賊なら憧れる宝物でもある。それはマルコも同じなのだろうか。 「おれたちの暮らしは常に危険が付きまとう。なァ、お守りと思って持っていちゃくれねェか。一番隊隊長の女が身に付けるのに、安すぎるってことはないと思うが」 そういってそっと耳たぶに触れられてはたまらない。 　そうだ、マルコは宝石なんて目もくれない。どんな財宝よりも、家族を、そして自分の女を、大切にする男。そんな彼に選んでもらったのが今でも信じられない。 　嬉しいやら、恥ずかしいやらでいろんな感情がこみ上げてしまって、小さく頷くので精一杯だった。 ※商品に使われている真珠は本物の淡水パールとなります。