造りの荒さと、手押しの判子が醸し出す、不思議なチープ感漂う小さな小さな木製の箱。 絶妙に使い勝手の悪そうな容量、木目に沿って滲むインク、塗装されていない木の微妙な匂い、申し訳程度の華奢な金具。決して使い勝手が良いとは言えない出来栄えだ。けれども、僕と弟がこの箱を作る時にありったけ込めた気持ちがある。 「楽しい」と言う気持ち。 子供が道に転がる石や落ち葉に無限の楽しみを見出すような、たった10分の休憩時間に校庭に出て走り回るような、訳のわからない無駄な遊びに何時間も夢中になるような、そんな小学生の頃に抱いていた、この世界に対する何の根拠もないニヤニヤした楽しさを詰め込んだ。 収納としての機能性なんてほぼないかもしれない。むしろ「使えるものなら使ってみろ」と言わんばかりの太々しい面構えである。そんな世の中で何の価値もないかも知れないものに、不器用にこしらえた手彫りのゴム判をこれでもかと押しながら兄弟でキャッキャとはしゃいだ。 「ナナチをこの角度で押したらカッコよくない？笑」 「裏蓋にんなって押したら可愛くない？ﾆﾁｬｱ」 「この箱の使い道がまったく想像できねー！www」 指をインクで真っ黒にしながらそんな風に笑いながら作った。 あなたがこの箱を開けた瞬間に、そんな僕らの楽しい気持ちが少しでも伝わったら嬉しいです。ナナチをお嫁にください。 外寸: 縦7.7cm 横7.8cm 高さ4.5cm （金具含まず） 内寸: 縦6.4cm 横6.4cm 発送は定型外郵便を予定しています。