児童文学研究会かみふうせん 会誌38号
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「京都大学児童文学研究会かみふうせん」のメンバーによる、2024年度の短編作品集です。 〜掲載作品紹介〜 『とある町のやたらと大きな家』 よこちりさこ 私もいつかこんなコミュニティの一員になりたい!素敵な絵本です。今回の会誌の表紙も飾る絵は、見れば見るほど新しい気持ちを呼び起こします。緻密でかわいらしく、かつ静謐な絵柄と物語に注目です。 『感覚のおもいで』 まつもとゆうき 丁寧に、とても大切なものとして書かれた文章であることが伝わります。自分にとって身近な命、大切なものたちを思うこと、彼らとの時間をせいいっぱい、真心こめて大切にすること。読みながら、命を思う作者の祈りに心を寄せずにいられません。 『ことばさんぽ』 白月風鈴 さわやかに歩みながら軽やかにことばを紡いでいく。このことばは、どうしてここに落ちてきた?どうしてここから生まれ出てきた?どこにどうやって進んでいく?軽快なことば遊びの世界へ一緒に足を踏み入れよう! 『日常にアクセントを』 白月風鈴 小学校高学年の頃、やたらと冒険ファンタジーにはまったことや、主人公や仲間たちと異世界を駆けまわったことを思い出す方も少なくないはず!作者曰く、「読者層は二つ想定している」とかなんとか......。片や冒険、片や爆笑(?!)。さてさて何が起こるのか。飛び込んでみよう! 『ジドウブンガク』 違和感と好奇心をちょうどよく刺激するジドウブンガク。さてこれはなんだ?この気持ちはなんだ?人間ってなんだ?慎重に読みたい5ページです。 『月のうさぎと幸いの星』 黒瀬ゆき ひろいひろい宇宙のなかを、ちいさな冒険者が旅をする。小中学生に戻って素敵な挿絵入りのハードカバーで読んでみたい。そう思わせる冒険ファンタジー小説。激しく物語は動きながら、主人公の成長に丁寧に寄り添います。 『読書エッセイ「ミセス・サンタはおおいそがし」』 中野花菜 絵本、子供の本に真っ向から向き合う作者の姿勢はいつも一貫しています。絵本の読者である子供たちへの視線だけでなく、20代の作者が絵本から読み取った世界を誠実に示す視点を持った、等身大のエッセイでもあります。 『神奈川県の図書館まとめ』 石井睦久 文学研究会の会誌として、ありそうでなかった有難い記事です。図書館はただ本がたくさんあってカウンターに持っていったらピッとバーコードを読み取ってもらって貸し出しがなされる、それだけの場所ではないんです。ぜひ、このエッセイ片手に神奈川県へ! 『げいじゅつさんぽ~すこしとおで~』 さとうりな 「げいじゅつさんぽ」の道を歩きながら、作者の脳内はどうやらフル稼働しているみたい。怒涛の言葉と好奇心、素敵な作品にときめく心に、読者もぐんぐん惹き込まれます。作者のガイドに従って私たちも今回は「すこしとおで」をしてみましょう。 『黒い森への旅』 ちゃっちー はるか異国の地から仲間の原稿が届きました。外国語に揉まれ、新しい文化に心躍らせ、人と出会い、少しお茶目にそれらを書き留め、ドイツの森へと颯爽と歩く作者の姿が浮かびます。帰国後のお土産話も今から楽しみになってきます。 『べに』 吉田理帆 あの日、私ははじめて自分から化粧をした―。十五年前の金魚の死。母の五つの遺品。胸に迫る情描写と、印象的なモチーフを駆使した作品です。幼い頃の消えない記憶と、それでも大人になってゆく自分。あなたにとっての「金魚」を思い出すかもしれません。 『桃』 佐藤智紀 こんなに美しくて静かでやさしくて同時に激しくて、目をそらすことを許さない文体にはそうそう出会えるものではないと思えます。「痛み」と「優しさ」、そんな言葉で形容してしまっていいのかわかりません。ジャンルこそ児童文学ではないものの、文学作品としてできる限りたくさんの人に読んでほしい、そんな作品です。