ぬいぐるみ現実
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超短篇4篇・短篇2篇を収録した怪奇小説集。現実みたいな何かのお話。 文学フリマ東京39(2024/12/1)にて初回頒布。 著者:阪井マチ サイズ:文庫版(62ページ) 朝、会社に向かっていると人通りの多い路上で前転をしている青年に出くわした。 「すみません、恐獄です」 ――「ストロー」 「人生が小説みたいですごく厭なんだ」 と言う人がいて、その傍らで青年が初めて頷いた。 ――「ライン」 右から左に腰をまっすぐ貫くように、横一文字の太いシャフトが通っている青年がいた。青年は腰のシャフトを軸にして上半身を回転させることができた。 ――「シャフト」 ぬいぐるみの路線バスがぬいぐるみの歩道の私を追い越していった。 その中に見える、ぬいぐるみの首とぬいぐるみの頭達。 知っているものはあるだろうか。ぬいぐるみの口が開いた。 ――「ぬいぐるみ現実」 このまま歳を取るのだろう。このまま何もできないのだろう。 ――「往生」 かれの進んだ道はいったい何で舗装されていたのか。私たちは音楽を愛する生き物なのか。音楽がなければ魂はどこへ行くのか。囚われた魂はなぜ震えるのか。 ――「自分のことは自分でね」