失いたくないものは大抵失ってしまう世界で、私はあなたと、出会ってしまった。 十九歳、私は、子どもでも大人でもなかった。あの子との約束は、まだ果たせていない。『十九歳』 真由子と出会った時、真由子は三十六歳の主婦だった。真由子には夫も子どももいた。満ち足りた家庭のように見えていた。表題作『失いたくない』 菫ちゃんはいつも、セックスをした後に死を匂わせるようなことを言う。『私も入れて』 二十年ぶりに初恋の女の子と出会った。私には子どもが、彼女には――『咲の手』 死のうか、と未散が言った。私を胸に抱きながら、静かにそう言った。『ひとつだった』 突然、なんの兆候もなくうつになった。海辺を散歩する私が出会ったのは、熱心にスマフォに向かってなにやらしている人で――『真夜さん』 幼い頃、お屋敷の敷地で、私はそれを見た。『人魚』 「女同士で愛し合って何が悪い」『肉まん』 失いたくない女たちの、愛の短編集。 文庫・278ページ(予定) 試し読み→ https://note.com/ushio_misaki/m/m260923bffdb3