逆効果過ぎる風刺画

魔性の薄ら笑いに誘われる――フランス・ハルス《The Smoker》 17世紀オランダは、繁栄の裏で享楽や浪費への警告を込めた絵画が数多く描かれました。 《The Smoker》もその一つ。パイプや酒杯といった“快楽の象徴”を盛り込み、「ほどほどにしないと堕落する」という寓意が隠されています。 同時に、ハルスは“笑いの画家”と呼ばれた人物描写の名手。 こちらを見つめるとろけた瞳、高揚した頬、口元のわずかな弧――その妖艶な表情は、戒めどころか誘惑の香りすら漂わせます。 …まさに逆効果すぎる風刺画です。