ひっそりと佇む洋館の奥の、小さなお部屋。 誰もいなくなったはずのこの場所で、 甘棺は今日もぺたりと床に座って、 大切なぬいぐるみとおしゃべりをしている。 語りかける声は、 まるで昔の思い出をなぞるようで、 どこか甘く、寂しげで。 「おうじさま、あのときこう言ってくれたよね」 「おひめさまは、どんな夢を見るのかな？」 誰かの声を思い出すたびに、 甘棺の片目が、わずかに笑う。 胸に抱いているのは、お別れした大切な記憶。 でも、まだ“さよなら”なんて言いたくなくて⋯ ボロボロのテディベアに、 心に秘めた想いを、貴方の存在を、 そっと重ねてしまっているのかもしれない。 この透明トレカは、 時間が止まったその一瞬を そっと、静かに閉じ込めたもの。 テディベア越しに語られていた甘棺の記憶が、 すこしずつ、息を吹き返していく。 ＿＿ねえ、おうじさま。 今度こそ、ほんとうの貴方と、 いっしょにお話できるかな。 ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ 透明トレカは、 SUUなどの透けるプリクラと 似たイメージです📷💭 ̖́-