【ロック/メタル】シリウス9 -変異者の力-
- Digital0 JPY

【ストーリー】 世界を崩壊させたのは、一つの病だった。 RV-31型ウイルス。 感染すると数日で神経系が崩壊し、高熱と錯乱を経て死に至る。発症すれば助からない。原因も感染経路も不明なまま、ウイルスは瞬く間に広まり、文明は瓦解した。都市は封鎖され、国家は沈黙し、人々は地下シェルターに逃げ込んだ。 そんな世界で、少女——久瀬乃亜(くぜ・のあ)は生きていた。 乃亜は、都市郊外にある民間の地下シェルターに保護されていた。そこでは、ある製薬企業が配布する特効薬「シリウス-9」の接種が義務化されていた。開発元はアステリア・バイオソリューションズ。崩壊前の最先端医療企業であり、政府の最後の希望だった。 「シリウス-9」は、RV-31型の暴走を抑制する唯一の薬であり、1~8までの試作型がすべて失敗に終わった末に生まれた“第9の希望”だった。 その名は、「夜空で最も明るい恒星」から取られたものだという。深い闇に射す一筋の光。まさに、絶望の中の救いだった。 乃亜が接種を受けたのは、発症の兆しを見せたからではなく、単に“念のため”だった。だが、その夜から彼女の中で何かが変わり始めた。 体の奥で、何かが蠢いていた。 皮膚の下で熱が走り、心臓の鼓動が異常なリズムを刻み始めた。やがて、視界がぼやけ、意識が遠のく。苦しみの中で、彼女は眠りに落ちた。 目覚めたとき、世界は静かだった。 彼女の周囲は、崩れた壁と焦げた匂いに満ちていた。仲間の叫び、悲鳴、避けるような視線——そして、自分の手が淡い光を帯びて震えているのを見た。 「……これ、私がやったの……?」 乃亜は“変異”していた。 シリウス-9の接種によって、彼女の身体は薬剤の副作用に適応し、「力」を持ったのだ。それは、すべての人間に現れるわけではない。ごくまれに、遺伝的な要因や環境因子が重なったときだけ発現する、「変異者」と呼ばれる者たち。 だが、それは祝福ではなかった。 シェルターの人々は彼女を恐れた。化け物扱いし、隔離しようとし、やがては処分すべきだとさえ言い出した。 乃亜は逃げた。唯一残った希望の場所から、たった一人で。 「この力は、私に何をさせようとしてるの……?」 答えはまだ見えない。ただひとつ確かなのは、力の存在が彼女を“選んだ”ということ。災厄をもたらしたウイルス、その特効薬が生んだ副作用、そして生き残った自分。 それは偶然ではない。何か、大きな意図がある。そう思わずにはいられなかった。 廃墟の中、彼女の瞳は静かに輝く。かつての夜空で最も明るく輝いた星、シリウスの名を宿して——。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【利用規約】 ・商用利用可能です。 ・楽曲のアレンジは自由です。 ・コンテンツIDや著作権登録団体への登録は禁止しております。 ・楽曲の販売、二次配布も禁止しております。 Youtubeで配信してます。ストーリーや動画と共に楽曲をお楽しみいただけると幸いですm(_ _)m 【チャンネルURL】 https://www.youtube.com/channel/UCnVObb2I5bBS5vaZVnMaA9Q