偏愛【ダウンロード販売】
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うまく愛せない人たちの、うまくいかない愛の話 ———— SNSには「正しい人間の条件」があふれている。貯金、家族仲、健康、返信の速さ、決断力。人生の各段階でチェックボックスを埋め、それができる人と交わることが「よりよく生きること」だと言われているかのようだ。 でも、恋愛はいつも整わない。理性的でいたいのに、いざ誰かを好きになると理性が働かないことがある。近づけば不安が増し、うまくやろうとするとかえって失敗する。恥ずかしくて、みっともない。それでも一緒にいたい。私は、その不合理な感情こそが「愛」だと思っている。 『偏愛』は、そんなどうしようもない気持ちを拭き取らずに残した本だ。読んで何かがすぐ整うわけではない。けれど、条件がそろわないまま誰かを好きになったときに、それでも好きだと認める小さな練習にはなる。もし最後まで読んで何も浮かばなかったとしても大丈夫。この本の最後のページにチェック欄はない。答えがないまま閉じてくれてかまわない。(まえがきより) ◾️収録作品 『人魚の彼』 観覧車の頂で、彼は言った――「俺、人魚なんよ」。掟を背負う彼と、最悪を想像する癖のある私は、二人の関係にどのような答えを出すのか。 『瞼』 眼瞼手術の“術前術後”を撮る仕事をする私は、ひとりの“ズレ”に恋をした。直されていく彼と、壊れていく私——光の中で交差した、手術前夜の記憶。 『犬と私』 しゃべれない犬と、言えない私の、沈黙の会話。距離とことば、その両方で他者を愛する練習をする。 2025年11月23日発行 ペーパー本 / 28P (PDFファイル) / A5サイズ











