一人称は書き慣れてきた。でも三人称はまだぎこちない。 そんな悩みから生まれた実践的な短編集です。 ひとつのストーリーを一人称と三人称で書きました。 こうすることで、人称による視点の違いや言葉の選び方の感覚を掴むことができました。 短編３つ×２通りの人称で計６編を収録しています。 読書好きの方には一人称と三人称の「食べ比べ」ができるユニークな短編集として。 小説を書いている方には、トレーニングの参考として。 私の「うまくなりたい」の気持ちからできた、読み応えのある一冊です。 ・収録作①「ある日の、ひとときの」 ふてくされながらコンビニに入った11歳の少年。客として居合わせた妊婦に異変が起き、少しのあいだ付きそうことに。 その15分間の、心の変化。 ・収録作②「暦のくらし」 とある田舎町。13歳のわかばは、古来の暦に従い不自由な暮らしを送っている叔母をもどかしく見ている。「地獄の蓋」が開くというその日、わかばは真実を知る。 ・収録作③「チケット」 別れた恋人からある日突然手紙が届く。旅に出るため部屋を引き払うので、その片付けをして欲しいという。戸惑いながらも彼の部屋に行った涼子は、そこで得体の知れない女と出会う。