長編小説【星霜を抱く手】ASFシリーズ4
- Digital880 JPY

「あなたが忘れても、世界はあなたを覚えている。」 空に根を張る《記録の大樹》が、世界中の記憶を葉として抱く惑星リュミエール。大樹都市ファルマリアで、たったひとり記憶に触れることを許された時の巫女アマリエは、白銀の《時詠の手袋》を纏い、誰かの哀しみや喜びを歌に変えて大樹へ還しつづけていた。 忘れられた母の愛、届かなかった手紙、帰らぬ人を待つ祈り。人々が手放した記憶を、彼女はひとりで抱きしめる。けれど、世界のすべてを覚えるアマリエ自身は、誰にも覚えられていない。そんな孤独な日々の中、夜空の星座が反転し、記憶の葉が落ちはじめる。忘却が世界を呑みこもうとしていた。 その時、彼女の前に現れるのは、自分の名前さえ忘れた記録騎士団の青年。彼は言う。「あなたの歌を、夢のなかで聴いたことがある」と。 覚えていることは、誰かを救う祈りになる。忘れてしまった大切なものを、もう一度抱きしめたくなる、切なくも美しいスピリチュアル・ファンタジー。
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