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5/28 COMIC CITY大阪124 秘密の裏稼業/ゼロとイチの距離 【新刊】 「阨情(あいじょう)2」 記憶を無くしたコナンと、幽閉するバーボンの話中編。今回はニット帽のあの人が…。 話は短め。 全年齢/文庫本/20P 【注意】 ※バーボンはコナンの事を『シルバーブレット』と呼び、コナンはバーボンの事を『マスター』と呼びます。 ※コナン記憶喪失モノです。 ※友情出演で赤井さんが出てきます。 ※続き物です。 以下サンプルです。 ****************** パチッ…パチパチッ… 「ん…」 小さな破裂音が断続的に聞こえ、その音でシルバーブレットは目を覚ました。そして、眠る前の記憶を1つ1つ思い出してみる。 バーボンを探しに外へ出てみたは良いが、雪で体は冷たくなるわ、帰り道がわからなくなるわ、おまけに怪しい人にも出会うわで大変だった。 バーボンが見つけてくれたから良かったものの、あのままだったら絶望的だった。それから家に帰って一緒に風呂に入り、その後―――。 そのまま寝てしまったのかと思いながら、目を擦ることでぼやけていた視界をクリアにすると、まず音のする方へと目を向けた。 「暖炉…あったかい…」 破裂音の原因は木の水分が炎で熱された事による水蒸気爆発の音だった様だ。炎の赤い光がゆらゆらとシルバーブレットの目に映り、あまりの眩しさに目を開けていられない。咄嗟に掴んでいたシーツに顔を埋めるとある事に気づく。 「ん…あれ…?」 シーツだと思っていた物はよく見たら黒い色をしており、規則的に膨らんだり萎んだり上下を繰り返している。そして、炎とはまた違った温かさがシルバーブレットにじんわりと伝わってきた。その正体を確かめようと、恐る恐る顔を見上げてみる。 「綺麗…」 シルバーブレットは思わず声に出してしまった。 何故なら目の前には規則的な呼吸を繰り返し、何を考えているのか読めないあの瞳を隠し眠っているバーボンの姿があったからだ。バーボンとは通常寝床は別である為、寝顔を見るのは初めて……な筈だが、何故だか久々に見た様な不思議な感覚に囚われていた。褐色の肌はまるで陶器の様で肌荒れ一つない。明るい髪の毛も、炎の光によってさらにキラキラと輝いていた。男の人に使う表現ではないが「お人形さんみたい」とはこの事を言うのかとシルバーブレットは思った。 そっと、その金髪に触れてみる。触れてみたいと思った理由はわからない。けれども、この寝顔を見ていると心が和らいで撫でてみたい、そう思ったのだ。 「ん…」 すると、バーボンが少し身じろぎをした。それはやがて次第に険しき物へと変わって行き、呼吸は荒く、額には汗が浮かび、まるで悪夢を見ているかの様な――――苦悶の表情を浮かべ始めたのだ。 「え…マ、マスター?」 「くっ…はぁ…はぁ…コナ…くん…」 「マスター大丈夫?」 「うっ…あ…っ」 「しっかりして!ねぇ、――――さん!!」 無意識に発した自分の言葉にシルバーブレットは驚いて、思わず撫でていた手を自分の唇に持っていった。 (今、なんて言ったんだろう…?) 一瞬大事な事を言った様な気がしたが、必死で呼びかけていた為覚えておらず、それよりも今はこの状況をなんとかする事で精一杯だった。