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文庫判(A6) 88ページ 初刷:2023/11/11 使用フォントが旧字体です。
己を人生の主演ではないと信じる男が、 不満のない生活から見る主演の世界。
凌雲閣を見ながら、男はその友人のことを考える。 変化していく生活の中で、兄のことを考える。 人生の転機を目の前にして、娘のことを考える。 男の周りにはいつでも、 その人生の、その世界の、 「主演」となりうるような人間たちがいた。 男は己の生活に不満はない。 恵まれた生活の中に感じる不足感は、 己が主演たり得ない男であるからか? 関東大震災後、凌雲閣の爆破解体から始まる、 主役ではない男の生活について。 男はただぼんやりと、主役と呼ばれるものになりたい。