不気味な話~8選~
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この本に興味を持ってくださりありがとうございます。 ↓ 【本作は】 日常の中にふと紛れ込んでしまった“何か”を描く 全8話の不気味なショート×ショートです。 どれも自信作、面白い仕上がりで、ここでしか読めません。 病院、学校、配達先、通学路。 見慣れたはずの風景に、違和感が潜んでいたら―― 気づけば背中にひんやりと冷たい風が吹くような、 そんな話ばかり書き下ろしました。 -------------------------------------------------------------------------------------- 本作品のポイント ・あとからゾワッとくる、静かな違和感 ・「え? これってどういう意味だったの?」と読み返したくなる余韻 -------------------------------------------------------------------------------------- ・怖いけど気になってしまう ・短編でサクッと読んで、あとを引く ・まとわりつくような“嫌な感じ”が好き そんな方にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。 ――あなたの隣にも起こるかもしれない“不気味な話”の数々 この本を読み終えた後。 身の回りが少しだけ、不気味に映るかもしれません。 ▽ これからもたくさんの読みやすい小説をお届けします! 新作の通知のため、ぜひ BOOTHのフォローをして 応援よろしくお願いします! また、割引キャンペーンやプレゼント企画の告知などもしますので、 SNSのフォローもよろしくお願いします! Ⅹ(旧Twitter):@say6novel 著者:セーイ6
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更にもう一話ぶん! noteかPDFで試し読み出来ます! note↓ https://note.com/say6novel/n/nb801ef40cfd6 ------------------------------ 『予約の電話』 私が働いていたのは、日中ひどく忙しいことで有名な病院の受付だった。 電話は鳴りっぱなし、待合室は常に満席、待たされてしびれを切らす患者の怒号も珍しくない。 そんな日中のピーク時に、決まってかかってくる電話があった。 「病人を…連れて行っていいですか…」 声は低く、呻くような響きで、まるで土の下から届くかのようにざらついていた。 その電話を受けた者は、皆一様に表情をこわばらせ、「…はい、どうぞ」とだけ静かに答える。 普段はにこやかな受付の顔に、ぴたりと影が落ちる。 奇妙なのは、その電話の主が実際に病院に現れることはないということ。 私はもちろん、誰も姿を見たことがないのだという。 なぜ忙しいときに限ってそんな電話をかけてくるのか。 当時、私はただの悪質なイタズラだと決めつけていた。 私は夜間のパートなので、日中の喧騒とは無縁だった。 深夜、勤務を終えて帰る時いつも、院長先生がゴミを出しているところとすれ違い、「おつかれさま」と優しく笑いかけてくれる。自らゴミを捨てる姿に、私は密かに感心していた。 ある日、日中の担当者が体調を崩し、どうしても人手が足りず、私が代わりにシフトに入ることになった。 軽く考えていたが、現場は想像以上に混乱していた。 私も慣れない業務にミスを重ね、焦りと苛立ちに呑まれていった。 プルル そんな時、電話が鳴った。 誰も手は空いていない。 「あなたは出なくていい」と言われていたが、何度も鳴るそのコール音に、私はつい受話器を取ってしまった。 「はい、○○病院です」 沈黙。 「…もしもし?」 「…病人を…」 私は息を呑んだ。 「…病人を、連れて行っていいですか…」 低く、恨みを含んだ声。間違いない、例の電話だった。 初めて聞くざらついた音声に、顔がこわばる。 そのとき、反射的に怒りがこみ上げた。 「今日は予約はいっぱいです!」 私は怒鳴るように言い、ガチャリと受話器を置いた。 しん、と、職場が静まり返る。 皆がこちらを見ている。だが、誰も何も言わなかった。 そして、背後から耳元へ囁くように 「じゃあ…もう連れていきませんよ…」 振り返る。誰もいない。 私の耳には再び、喧噪が戻る。 周囲は何事もなかったように“日常”を続けていた。 だが私は、明らかに“してはいけないこと”をしてしまったと直感していた。 その日の夜。 帰り際、ゴミ出しをする院長先生とすれ違う。 「…何か、聞いた?」 いつもの優しい笑顔で、しかし感情のない声だった。 「うちの病院、本当に忙しいよね。特に日中は。 毎日、誰かが入院して…誰かが“退院”するだろう」 「…そうですね」 と私が答えると、院長は小さな声で呟いた。 「何もしてないよ…僕は。ただ…“連れていって”もらってただけなんだ…」 院長の目は虚ろだった。 「ベッドをずっと埋めてる患者を、ね…。だってそれで困ってる患者がいる。ベッドを空けなくちゃ…。君達もいいボーナスが出てるだろう…?」 じとり、とした視線で私を見る。目は血走っていた。 「僕は何もしていない…ただ受け入れただけなんだ…」 「…お、お疲れ様です」 取り乱す院長の様子が怖くて、私は逃げるようにその場を後にした。 数日後 気味が悪くなり辞職した私は、ふと病院の噂を検索してみる。チラホラと、こんな口コミを見つけた。 「○○病院では入院患者の自然死が異常に多いよ」 「特定の入院期間を過ぎると、患者が亡くなるんだよ」 「誰かに“連れていかれる”ように」 私は怖くなった。 私が“退院”していたと思っていた人々は、本当に無事だったのだろうか…。 私は全てを、忘れることにした…。 そして、ある日。 私はうっかり、病院の裏を通ってしまった。 急いでいて何も考えず、ハッとしたときには病院の真裏まで来てしまっていた。 …ちょうどゴミ捨て場に、誰かがいる。 院長だった。 その顔はやつれ、青ざめた表情で、どこか歪んでいた。 彼はしきりに何かをぶつぶつと呟きながら、大きな袋を引きずっているところだった。 「誰かが…やらなきゃいけないんだからさ…」 その袋の中、赤黒い何かが詰め込まれているように見えたのは、気のせいだろうか。 見間違いだった。そう思うことにしている。 あの電話の主はもういない と、私は感じていた。 けれど、だからこそ、おかしいのだ。 あの病院では今もなお、 “自然死”が相次いでいるらしいのだから ------------------------------ ここまで読んでいただきありがとうございます。 他にも多数の試し読みをご用意しております! 少しでも気に入った作品あれば、続きのご購入をご検討くださると幸いです! 今後とも応援よろしくお願いいたします。 https://note.com/say6novel/n/ne2726146a0e1
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