3DCG絵本 コフィアナ館物語 第三話 制作・夢穂六沙
- Digital100 JPY

🌸コフィアナ館物語3🌸 〜ブローチと宝石蜂と、森の小さなお客さま〜 ある日のこと── コフィアナ館の2階、 カイ様のお部屋でのことでした。 ペルシャ猫のラピスが、 カイ様の机の上にあるキラキラ光るブローチを見つけて、 目をまんまるにして言いました。 「それ、ラピスにちょうだいニャ!かわいいニャ!」 カイ様はにっこり笑って、 ラピスにブローチを渡しました。 「いいよ、ラピス。気に入ったなら、どうぞ。」 そこへ、メイドのわたくしコフィアナがやってきて── 「ラピス様、お昼寝のお時間ですわよ」 ラピスはブローチを大事に持って、自分のお部屋へ。 ふわふわのクッションの上で、すやすや……。 ところが── 窓から、ひとつの影がすべりこんできました。 それは、羽根をきらめかせた宝石蜂! 「ニャッ!?……あっ!ブローチがニャーい!!」 ラピスが目を覚ましたときには、 ブローチはもうありませんでした。 そのころ、カイ様は中庭で読書をしていました。 ふと、ラピスの部屋から光るものが、森の方へ飛んでいくのを見つけました。 「コフィアナ、今のって……?」 「ご主人様、あれは宝石蜂ですわ。花の蜜より、宝石を集めるのが大好きな蜂ですの」 ラピスが大騒ぎ! 「ラピスのブローチがニャい!盗まれたニャ!」 カイ様が「森に飛んでいったよ」と言うと、ラピスはすぐに走り出しました。 妖精のティーファも、 「何だか知らないけどオモシロそうだわ」と、 あとを追いかけます。 そして── 森の中で、ひとりの小人族の女の子が現れました。 「あなたが盗んだニャ!?ラピスのブローチ!」 「ちがうわよ!わたしは“エリシュオン”を探してたの!気づいたら、変な森に迷い込んじゃって……」 その子の名前は、コロナ。 カイ様がラピスとコロナのケンカを止めます。 そして、 そっと別のブローチをテーブルに置くよう、わたくしに指示されました。 みんなでテラスに戻り、 ブローチを見守っていると── またしても、宝石蜂が現れて、 ブローチを持って飛び去ってしまいました! 「あの蜂が真犯人ニャ!待つニャー!!」 ラピス、ティーファ、そしてコロナも、宝石蜂を追いかけます。 カイ様はわたくしに言いました。 「コフィアナ、辛子入りの水をスプレーに入れて!」 「かしこまりました、ご主人様」 ラピスたちは、宝石蜂の城にたどり着きました。 そこには、宝石で飾られた王様がいて── 「侵入者を追い払え!」 宝石蜂の大群が、ラピスたちに襲いかかります! 「逃げるニャー!!」 命からがら、コフィアナ館まで戻ったラピスたち。 カイ様とわたくしが、辛子スプレーで宝石蜂を撃退いたしました。 そして、王様からラピスのブローチを返してもらいました。 カイ様が、 「証拠もないのにコロナを疑っちゃダメだよ、ラピス」 「コロナ、疑って悪かったニャ。この通り、謝るニャ」 コロナが、 「今回は特別に許してあげるわ。でも、次は許さないからね!」 ティーファが、 「ラピスは勘違いしてばかりの慌てん坊さんね!」 こうして── コロナは、コフィアナ館の新しいお客様となりました。 --- 🌼 “その日、風の音がまたひとつ、やさしくなった気がしました──”