『君に寄り添う許しが欲しい』 38か月の途中、復讐の道半ばで座村の慚箱に預けられることになったチヒロの面倒をみる郎が、ひとの心を知ってチヒロをすきになる話。 A5＊約100ページ＊9万文字＊800円前後＊全年齢 発行日：2025年10月19日＊COMIC CITY SPARK 20-day1- 剣戟懲悪 SP2025 スペース：東4ホール ツ11b　「文字書き小屋」 表紙デザイン：あらかわ様 物語の都合上、炭ちゃんと杢さんの出番がありません。 話の途中までチヒロが荒んでいて、郎は本気で感情というものがわかってません。 ラストは未来のある明るい終わり方です。 本作は純度100%の郎チヒです。 Pixivサンプル：https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26170653 ＊＊＊ 泣き声はしなかった。鼻をすする音も、しゃくりあげるような呼吸の乱れも聞こえてこない。だから廊下に立ち尽くした郎には今、部屋の中にいるチヒロがどんな表情を浮かべているのか想像もできなかった。 父さん、と一度だけチヒロが零した声が郎の中にじわじわと広がっていく。なんだか酷くぞわぞわして、唇が勝手に震える。でも、なにを言いたいのかは郎にだってわからなかった。 胸のあたりがずんっと重くなる。そんなの、初めてのことだった。 ＊＊＊