アッシェンベルクの鳥かごスペシャルセットR15
- BGM集のみDigital1,000 JPY
- 特典ボイスのみ(R15)Digital2,000 JPY
- ショートストーリーのみDigital1,000 JPY
- 本編のアーカイブ(作品部分のみ)Digital1,000 JPY
- コンプセット(全部入り+設定資料つき)Digital3,500 JPY



ボイス作品アッシェンベルクの鳥かごの後日談となるボイスや、書き下ろしショートストーリー、BGMなどのスペシャルセット ▼ 1. あらすじ(本編未聴者向け) 【本編『アッシェンベルクの鳥籠』あらすじ】 名家アッシェンベルク家。 栄華を極めた一族は不可解な破滅を遂げ、残されたのは、世間を知らない無垢な令嬢(あなた)と、莫大な負債だけだった。 彼女の唯一の支えは、幼少より共に育った完璧な執事「フェリクス・ナイトレイ」。 だが、その優しき光は、やがて彼女のすべてを奪う闇へと変貌する。 これは、彼があなたを共犯者として手に入れ、二人きりの鳥籠に閉じ込めるまでの、倒錯と執着の物語。 youtubeで120万再生を超えるボイスほか、ヤンデレを知り尽くした夜野ねむりによる究極のヤンデレ・ゴシック・デカダンス。 ▼ 2. 商品タイトル:『アッシェンベルクの鳥籠』アフターストーリー・スペシャルセット 【あの「共犯」の夜は、まだ終わらない】 フェリクスに「鳥籠」に囚われた、その後の後日談ボイスや、フェリクスの視点を描いたショートボイスなどを、専用オリジナルBGMとともに楽しめます。 二人の背徳的な愛の行方はどこにいきつくのか。 特典ボイスはR15です。15歳未満はコンプセット、および特典ボイス単品を購入することはできません。 ▼特典ショートストーリー ゴシック・デカダンスの世界を究極にまで高めるフェリクスの視点で語られる、美しく詩的な物語。 レビューより: "シチュエーションボイスの特典SSにおいて、到達しうる最高レベルの一つ。圧倒的な内面の狂気と、狂気を美学にまで高める詩的表現によって描かれる表現独自性の頂点を極めたアート" ▼備考 これは予約用です。11/10以降に、段階的にお届けになります 今回のみの限定価格! コンプセット ・本編ボイス(約30分) ・BGM集全8曲(ショートストーリーのテーマ含む) ・夜野ねむり書き下ろしSSショートストーリー2話(約3000/2000字) ・R15二人の後日談を描いた、甘く執着に満ちた特典ボイス(15歳未満は買えません) ・設定資料 ※ショートストーリーの1話は下記にて無料公開されます ※仕様は一部変更されることがあります ▼キャラ紹介 ・ アッシェンベルク家 (Ashenberg) かつて絶大な権力を誇った輝かしい名門。しかし、物語は、その一族が不可解な破滅を迎えたところから始まる。 ・お嬢様 (アッシェンベルク嬢) 没落したアッシェンベルク家の、最後の生き残り。 その生涯のほとんどを、屋敷という名の鳥籠の外を知らずに育てられた、まさに「箱入り」の令嬢。 ・執事:フェリクス・ナイトレイ (Felix Nightray) 冷静沈着かつ知性的。崩壊したアッシェンベルク家の家政(資産整理、債権者との交渉)を、たった一人で切り盛りする完璧な執事。 没落のショックで塞ぎ込むお嬢様を、常に優しい言葉と完璧な仕事で支える、「光」のような存在。彼はアッシェンベルク嬢と幼馴染であるが、ある日を境に彼女の前から姿を消し、素性を変え再び執事として戻ってきたのだ。 …しかし彼の瞳には底知れない夜の闇が潜んでいる。
【上記視聴BGMと併せてお楽しみください】特典ショートストーリー:フェリクス・ナイトレイ
始まりは、憎悪だった。 この身に流れる血の全てを沸騰させるような、冷たく燃える憎しみ。あの一族——お嬢様の、あなたの父母が、私の全てを奪った。名誉も、財産も、家族の温もりさえも。 だから私は、全てを捨ててこの屋敷の門を叩いた。復讐のためだけに、素性を隠し、完璧な執事を演じ続けるのだと。 私が仕え始めた日のことだ。 暖かな陽光の中、導かれるままに庭園に踏み入る。咲き誇る鮮やかな花壇で、私は執事ではなく一人の子供だった。 久しぶりという言葉を聞いて我に返った時、私は体が打ち震えるのを感じた。 憎むべきアッシェンベルク一族の血を引く、穢(けが)れた存在。 そう思うたびに、胸の奥が軋(きし)んだ。なぜなら、あなたのその笑顔だけが、この腐りきった屋敷の中で、唯一、清いもののように見えたからだ。 気が付くと私は「どなたかとお間違えではないでしょうか?」と口に出していた。 お嬢様は何も言わず微笑んでいた。 私は挨拶を終え、動揺に気とられないように、背中を向ける。不自然な所作はないか、無性に心配になり、無意識に自らの手のひらをみつめようとする。 「これからよろしくね、フェリクス」 私は拳を握りしめていた。そして上書をするように両親の顔を思い浮かべようとして、何かに怒りを覚えた。何に対してかも分からず、私は屋敷へ向かって、庭園にこぼれた花びらを踏みしめていく。 人の記憶とはなぜこのように残酷なのか。 *** ある夜、私はその褐色のガラス瓶をわずかに傾けた。壁に灯された燭台の光を受け、一瞬だけきらめいた一滴は、すぐにその痕跡を失う。 ヴィクトリアの安眠剤。 無味無臭の透明な液体で、 "銀の杯"に三滴を垂らした時 は24時間以内。だが、毎朝のスープに一滴ずつであれば、数カ月から数年をかけて自然死を装うことができる。王家ですら欺けるというのが由来である。 しかしそれは、長く続く廊下の上質な敷物に、わずかなシミをつけただけだった。私は自分に言い聞かせていた、まだ今日はその日ではなかったのだと。 ある日、その知らせはあっさりと訪れた。 あなたの両親が愚かにも負債だけを残して逝き、あなたは、か弱く、世間知らずなまま、この屋敷に取り残されたのだ。 あのアッシェンベルク家が没する。 それは甘美な響きをもつとともに、ドロドロとした粘り気のある何かをまとっていた。私は褐色の瓶からラベルを強引にはぎ取り、アッシェンベルクの当主に向かって叩きつけた。血液をまき散らすように、それは粉々に砕け散った。だというのに、その男は何事もなかったかのように傲慢な笑みを湛えていた。 私は泣いていた。 あれらはすぐそこにいるのに、いないのだ。 そこには一本の木と、それを幾重にも映す、砕けたガラスがあるだけだった。 *** それから私はあなたの観察を始めた。 午前0時。 窓のない部屋のようなところで、あなたは、絶望に怯えている。 ああ、なんと哀れで、なんと愛おしい。 この清らかな存在が、私以外の誰かに汚されるのは我慢がならない。この人を破滅させるのも、この人を生かすのも、この私だけでなくてはならない。 憎しみは、いつしか歪んだ執着へとその姿を変えていた。私がこの感情に気づいた時、復讐の計画は、より甘美な「飼育」の計画へと変質したのだ。 だから、あの夜の訪問者たち。 彼らの存在は、私の甘美な『飼育』の計画を完成させるための、いわば"最後のピース"だった。 恐怖という鎖のその先には、いつも永遠が繋がっている。 「…もしかすると、夜分に、招かれざる『客』が来るかもしれません」 私がそう告げると、お嬢様の蒼白な顔が、さらに色を失った。 ああ、その顔。私だけに向けられる、絶対的な怯えと、依存。 冷たい指先でショールを直して差し上げながら、私は内なる高ぶりに身を震わせた。この方はもう、私がいなければ呼吸すらままならない。 遠くでドアを乱暴に叩く音、怒号が聞こえる。私は予定通り、お嬢様の手を引き、寝室へと導いた。 「万が一にも、あのような下賤(げせん)な者たちのお姿を、お嬢様のお目に触れさせるわけにはまいりません」 本心だ。あなたという"聖域"に、あの汚物が触れるなど万死に値する。私は、お嬢様を寝室に押し込み、冷たい瞳で見つめた。 「いいですか、お嬢様。このドアは、私が許すまで、決して開けてはなりません。そして、何があっても…。何が聞こえても、決して声をお出しにならぬよう」 私の言葉は、呪いだ。 あなたを、私の「共犯者」にするための、最初の呪縛。 「私との、お約束です」 あなたが小さく頷くのを見届け、私は静かにドアを閉めた。 鍵が内側からかかる、か細い金属音。…ああ、いい音だ。 私はゆっくりと振り返り、玄関ホールへと向かった。廊下に響くのは、私の規則正しい足音と、遠くで騒ぐ害虫どもの耳障りな声。 ホールは、土足で踏み荒らされていた。 「警告は、いたしました」 私の冷静な声に、男たちは下品な笑いを返す。呪いの言葉を吐きながら、一人が、寝室。つまりお嬢様のいる方角を指さした。 ——その瞬間、私の思考から「復讐」は完全に消え失せた。 代わりに、氷のような殺意が、私の全身を支配した。 ****** 私は、床に転がる「ゴミ」を冷ややかに見下ろしながら、ドアの向こうで、あの方がこの音を聞いて震えていることを想像した。 (聞いているか、お嬢様。これが、あなたを守る私の"愛"の形だ。そして、これを聞いてしまったあなたは、もう二度と、私から離れられない) 高揚していた。 床に滴る粘り気のある液体が、私の渇きを癒す美酒のようにさえ思えた。私は、あえてその血糊を拭わなかった。 返り血を浴びたこの姿こそが、私の本性。 これを、あの方の清い網膜に焼き付けたかった。 寝室のドアを、優しくノックする。 「…お嬢様。私です。…もう、終わりましたから」 鍵が開く音。 ドアが開いた瞬間、目に飛び込んできた、あの方の顔。 恐怖に引きつり、声も出せず、私と私の浴びた血を見つめる、その濡れた瞳。 ああ。 これだ。 私が、ずっと見たかった”もの”は。 憎むべき一族の生き残りが、絶望に染まる顔。 …いいや、違う。 私が守りたかった、ただ一つの清い存在が、 私という「罪」によって、 私色に、汚された、その決定的な瞬間。 「…見苦しいところを、お見せいたしました」 私は笑みをこらえ、完璧な執事の仮面を貼り付けた。 「お約束、守ってくださったのですね。 …えらい子です、お嬢様」 私は、この方をゆっくりと追い詰めた。 自らが復讐者であったことを明かし、この方がどれほど無力で、私に依存しているかを、言葉で、視線で、その肌に刻みつけたかった。いいや、私は復讐者などではない。墓荒らしのようなものだ。私は、復讐の成就よりも、遥かに甘美な「絆」を見つけたのだ。 「あなたは今、私が彼らを『処理』するのを知りながら、この部屋で、鍵をかけて、待っていた」 私は、あの方の手を取った。 熱を帯びた私の折り重なる指に包まれて、冷たく、震える、小さな手。 「…おめでとうございます、お嬢様」 私は、心の底から祝福した。お嬢様、あなたは、ただの被害者からーー 「…私の、『共犯者』になられました」 あの方の、息をのむ音。 その絶望こそが、私にとっての最高の快楽。 もう、憎しみはどうでもいい。 私は、この人を手に入れた。 誰にも奪わせない。 私と二人きり、この腐った屋敷という鳥籠で、永遠に愛(か)い殺すのだ。私は、私の共犯者を、夜の闇よりも深く、甘く、見つめ返した。 屋敷の外には雨が降っている。 人はいつも、その雨の行きつくところを知らない。


