【シナリオサンプル】地を忘れた空の民 ◆(第1章)プロローグ
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シナリオサンプルです。 ◆(第1章) 高層都市《アルティエル》の空は、今日も無数の人影で満たされていた。 滑らかに弧を描きながら移動する人々。まるで鳥の群れが街全体を舞っているように見える。 ——空を歩くのではなく、泳ぐ。 それが、この時代の当たり前だった。 人類は数十年前、**「運動エネルギー変換式反重力制御システム」**を完成させた。 歩く、跳ねる、走る——その動作から生じる力を靴底に搭載された変換回路が電力に変換し、同時に反重力制御層へ送る。 その仕組みは、現在のリニア浮上鉄道とほぼ同じだ。違うのは、鉄のレールではなく、人間自身が浮く側に回ったという一点。 結果、地面はほとんど意味を失った。 人々は歩くことをやめ、滑空し、浮遊し、空中を流れる街道(エアレーン)を移動する。 靴は単なる衣類ではなく、生活基盤そのものになっていた。 そんな世界で——俺は靴をつくっている。
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