『ニア』吉川いと花
- 650 JPY
文庫/110p/カバー付き
近くて遠い三組のふたりが過ごす、限られた時間や日々をまとめた短編集。
祥太郎は自分と似た顔を持つクラスメイトに、ときどき不思議な感覚を抱くことがあった。 別個体でありながら完全な他者には遠い彼を放っておくことができないでいる。 ――天高く、海の底。 結婚記念日旅行で両親が不在になる間、睦実は血の繋がらない姉とふたりきりで過ごす。 家に寄りつくことがない姉と唯一時間を共にできる三日間は、睦実にとって彼女と家族になるための特別な時間だった。 ――デイライト・シグナル 同じ漢字の名前を持つスミとトオルは、何年もの間あることをひそかに共有している。 まったく正反対なふたりを、一冊のスケッチブックが繋いでいた。 ――澄《 すみとおる 》