彼は誰の花
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過去にA5版として制作した、「腐れ街の蛇」「花と鍛冶師」に、書き下ろしの新作「印章と陰謀」を加えて文庫化したものです。 各作品の冒頭は、「お試し版」として無料公開しているのでよければそちらを確認の上ご検討下さい。 熱帯雨林に囲まれた、湿った猥雑な都。季節が雨季へと移り、雨が戻って来たことを祝う「花祭り」が迫っていた。幼い頃に口減らしの為に故郷から流れてきた兄ナトトは弟を養うために殺し屋となり、弟ワルルは鍛冶師の見習いとなった。兄弟それぞれの視点で花祭りまでの期間を描きます。 今回の文庫化に当たって、「雨の匂い、石の祈り」でも装画を担当頂いた、zngoさんに装画を担当頂きました。昼の世界を生きるワルルと夜の世界を生きるナトトとが黄昏時に交わる、というイメージを見事に美しい装画に仕上げて下さいました。 装画を最大限活かすため、透明カバーに白インクでタイトルロゴを印字しています。タイトルロゴは日下田さんに担当頂きました。 また、絵の中心部では表紙に印刷されていた白い花びらが周辺部では透明カバーに印字されており、「向こう側」から「こちら側」に吹く風を表現することを試みました。特に、表紙に花びらの影が落ちるところは是非直接手にとってご覧頂きたいです。 【仕様詳細】 文庫サイズ 200P カラー表紙 透明カバー白インク印刷 装画:zngo 本文DTP:蜜丸 タイトルロゴ:日下田治久 印刷:Print-On 初版:2018/11/25 第二十七回文学フリマ東京 ※発送は12/1以降になる見込みです。
■腐れ街の蛇
日暮れと共にナトトは歓楽街へと出掛け、用心棒として働く。幼い頃からの鍛練で、ナトトは『蛇』の二つ名で怖れられる存在となっていた。ある夜、ナトトは雇い主の女主人からある依頼をうける。彼女が独占している筈の香の取引をしている者を、「どうにかして」ほしいと……。
■花と鍛冶師
ワルルは、厳しくも暖かい師ケルシアの元で鍛冶師としての修行を積んでいた。折しも花祭りが迫り、鍛冶師たちは花祭りの贈り物の注文に忙しくしていた。ワルルもまた、兄ナトトに贈る短剣を自ら鍛えたいと、そう願っていた。そんなある日、「蘭花商会」を名乗る客がケルシアにある注文を持ってくる……。
■印章と陰謀
花祭りが過ぎ、街は落ち着きを取り戻しつつあった。しかし、花祭りの夜に王が退位を表明したことで、王位継承権を持つ五大家と呼ばれる大貴族たちは水面下で慌ただしく動き始めていた。ナトトの友である荷運び人カファルは、ある貴族の依頼をうけて手紙を運んでいた。その手紙が、ナトトたち兄弟を騒動の渦中へと巻き込んでいく……。