風薫る 田夏再録集4
- 700 JPY
『風薫る』 田夏再録集4 2014年5月~2016年6月までに書いた田夏の短編小説の再録集。 新書版/78頁/80g 田夏をうたいながら、犬の会な内容のお話たちです。 『Trifolium』 『星祭り』 『秋の気配』 『冬の日』 『一日遅れのクリスマス』 『夏目とX'mas』 『Cherry Blossom』 『milky way』 『あじさい』 『雪月花』 『メルヘン』 『ことのは』 『水無月』 基本ほのぼの中心の作品を作っていますので、興味があったらぜひ~
冬の日
玄関には小さなクリスマスツリーやスノーマンのグッズが飾られ、茶の間に入ると玄関のよりは少しだけ背の高い赤いガラス玉のオーナメントで飾られたツリーが おいてある。 その茶の間の中からはみんなの楽しそうな話声が聞こえてくる。 「これ美味しいですねー」 美味しそうに多岐がお稲荷さんを頬張る。 そんな多岐を見て、塔子も嬉しそうに微笑んだ。 「ホント?」 「ハイ、とっても…」 「多岐ちゃんにもきっと作れるわよ」 「作れるかなぁ~、私不器用なんですよ」 「大丈夫…それじゃあ今度教えてあげる」 目を輝かせつつ、ちょっと不安そうな表情を見せる多岐を塔子は励まして自分が教えることを約束した。 「おい聞いたか、多岐さんの手料理だぞ!」 西村がわくわくした面持ちで話すのを北本が呆れたように見つめ、田沼と夏目は笑っている。 「おまえなーちゃんと話を聞け! 多岐さんが料理を教えてもらうって話だろ」 「えーでも、多岐さんの手料理…」 「でも、本当に塔子さんの料理は美味しいよな」 「うん、最高に美味しい」 「あら、こんな田舎料理を褒めてくれてありがとうみんな」 「けど、西村のお母さんの唐揚げだってすごく美味しいよ!」 「そうね、本当に美味しいから今度作り方教えていただかないと…」 「いやいや、うちの母ちゃんが得意なのこれだけだから…」 「おいっ…いいのか、そんなこと言って…お母さんに云いつけるぞっ!」 「お願い止めてっ!」