中国の様々な時代を舞台にした短編小説集です。今回は漢・唐・元・日中戦争期、四つの時代の作品を収録。 「糸」　　…漢代・後宮もの。宮中で出世していく趙飛燕と趙合徳の姉妹。しかし、その背後にはいつも范青という宮女の存在がいた。人同士を結び付ける「糸」が見える范青は、趙姉妹を利用して権力の中枢に近づいていくが…。 「李賀と蘇小小　唐朝剣仙傳」　…唐代・ファンタジー。不遇の詩人・李賀は官職への道を断たれ鬱々とした日々を送っている。そんな彼のそばにいる小柄な仙女・蘇小小は、剣仙として地上の魔物を退治していたが、いつまでも憧れの天仙になることが出来ない。お互いの境遇に惹かれあう二人を待ち受ける試練とは。 「最後の宣教師」　…明代・歴史もの。大都（北京）で蒙古人の支配のもと繁栄していた北京キリスト教会。しかし、明朝の北伐で漢人が支配者になってから、信徒を次々と失い、教会も寂れていた。老司教パウロ達の選択は…。 「戦争とあぶれ者達」　…日中戦争期・歴史もの。反戦思想者として特高に投獄された過去を持つ徳永。かつて国民党から共産党に寝返ったが、結局そこにも馴染めず離党した王耀仁。国家のあぶれ者である二人は満州でひっそり暮らしていたが、戦争の長期化が否応なしに彼らを事件へ巻き込んでいく…。