電子:滅びゆく言語のRPG『ダイアレクト』
- 1,650 JPY
言葉を築き、世界を築く 言語は物語る。何を大切に思い、どこから到来し、そして何者であるのか、話し方にはそうしたことが織り込まれていて、露わとされます。 『ダイアレクト』 は、孤立した共同体とそこで使われている言語、そしてその言語が失われることにはどういう意味があるのかを扱ったゲームです。このゲームでは、孤立した共同体で使われる言語を築きながら、その共同体の物語を語ることになります。何者なのか、何を信じているのか、世界の変化にどう対応するのか、といった、共同体に幾つかある基本的な様相から、新しい単語や熟語が生まれます。 孤立した理由は、自発的なものであっても、そうでなくてもかまいません。厳しい世界から身を守るために壁を築く人たちもいるでしょうし、故郷を離れて彷徨い立ちつくしている人たちもいるでしょう。たった1つ彼らについて言えるのは、彼らを特別な存在とするその共同体で、煮詰まるままにされるということです。そしてそれ故に彼らは変化せざるを得なくなります。彼らがどう変わるのか、それはプレイヤーであるあなたが決めることです。 プレイヤーには、語りついだ物語、そして協力して築いた言葉が遺されます。
dialect
音節 di • a • lect 発音 dάɪəlèkt [不加算名詞] 1 方言; 国なまり 2 (特定の職業・階層の)通用語 研究社 新英和中辞典より
言語を作り、世界を作る
言語には世界が宿ります。それが語られている共同体の世界観を内包しています。『ダイアレクト』は、孤立した共同体とそこで語られている言葉、そしてその言葉が失われる意味についてのゲームです。孤立した共同体で使われている言葉を作ることで物語を語りましょう。 ルールブックには4個の基本、12個の追加、合計16個の孤立した共同体と、その共同体が迎える展開が用意されています。初めは基本を選ぶことをお勧めしますが、そのうちの1つを選んで、そこの提案や質問に従って、その共同体の人間が何者なのか、何を信じているのか、世界の変化にどう立ち向かうのか、などといった3つの側面と、それから多少の設定を考えます。 その3つの側面と手元に配られたカードを使って参加者全員で協力して言葉を作り、そしてその作った言葉と今までの設定に合わせてロールプレイをし、物語を作っていってください。そこにGMはいません。そこに判定はありません。ただ自分のキャラクターとその言葉との、肯定的であれ否定的であれ何らかのつながりを構築するために会話をします。 時代の経過とともに共同体は変質し、側面もまた変わっていきます。手札から出されたカードによっては、古い言葉は取り残されて死語になるかもしれませんし、また他の単語と結びついて新たな言葉になるかもしれません。 そうして時代の変遷を繰り返し、共同体は最後には必ず滅びます。それは発展的解消かもしれませんし、強制的な解体かもしれませんが、ともあれ必ず失われます。そして孤立した共同体が滅びるその時、そこで使われていた言葉は使われなくなり、存在価値も失われ、口にする者たちもいなくなります。共同体には、キャラクターたちには何が遺されたのか、それを振り返り1人1人語ってもらいゲームは終了します。 この共同体と言語の喪失は、現実でも、そして日本でも起きうることです。アイヌ語は極めて深刻な危機に瀕する言語ですし、方言にしても昔に比べるとマスメディアなどの影響で緩やかになってきています。世界に目を向けると話者が10人に満たない言語は、全言語のおよそ10%に上ります。こうした言語や方言が失われ、大きな言語に飲み込まれる時、それに由来する文化や世界なども失われます。 『ダイアレクト』ではこれを体験します。
必要なもの
・ルールブック ・プレイ人数:3~5人(GM不要) ・プレイ時間:3~4時間ほど。 ・ダイス:不要 ・その他:専用カード、筆記用具、情報カード20~30枚ほど
注意
参加者全員で作成した共同体は、発展的な解散であれ、強制的な解体であれ最後は必ず失われます。ご注意ください。
内容物
・ルールブック(表紙広告込み168ページ) ・印刷用カードデータ ・オンラインセッション用カードデータ ・ハンドアウト ・リファレンスシート