紙風船35号
- 370 JPY
「京大児童文学研究会かみふうせん」のメンバーによる、宝石箱みたいな短編童話集です。 ↓作品紹介 『さがしもの』しらあえ 秋の風って、どんな匂いがするでしょう? まだ秋がよくわからない少女は、毎朝ベランダで風の匂いを吸い込んで、秋の訪れを確かめます。 少女のまなざしが丁寧に描かれた、いとおしい児童文学作品です。 『記念撮影』倉見萌奈 撮影より雑談。そんな名ばかりの写真部のあかりは、ある日母からフィルムカメラを押しつけられた。祖父の形見だというそのカメラを、渋々使ってみたあかりだったが、写真に奇妙なことが起こり………? きっと写真が好きになる、ちょっと不思議な物語。 『付箋のドレスで踊ってみせて』濃霧 私もあなたも色んな顔をもって生きているけれど、それは悪いことじゃあなくて、その「顔」というのもきっと仮面みたいな硬質なものではないんだよ。 合評会で思わず天才!と叫んだ、まくし立てるような独自のリズムが大好きな作品です。 『狭間の夏』待田灯子 末の妹のマツリは静かで聡明な美少女。そんな彼女は、ある事件がきっかけで予備校に行けなくなったまま夏休みを迎える__ 閉塞したコロナ禍の現代を舞台に描かれる、家族のリアリティが胸をつく作品です。 マツリちゃんが可愛いのですがそれもまた本編に絡んできます… 『香を食む』豆腐小僧 「香は食べるためのものなんだよ。」 きれいなその人の言葉の真意を、その日「ぼく」は知った。 幻想的な雰囲気が美しい、まさしく香そのもののような物語。 『桜桃』月村麦 自分の名前を呼ばれた気がして、祖母の家を飛び出した正太郎。声の主を探した末に、彼が出会ったのは、彼岸花の中に在る少年だった。 「正太郎だろう、おまえ」 そう告げた見知らぬ少年は、正太郎をどこかに連れて行こうとするのだが…。 不思議であやしい少年の魅力を是非! 『村墓地にて』三里千秋 八月の終わり、先祖の墓を訪れた有希。お盆に来なかった償いにと、一人で墓を掃除する彼女の前に、親戚を名乗る青年が現れる。懐かしい雰囲気を纏った彼は、一緒に自身の家の墓参りをしてほしいと頼んできて………。 忘却と記憶の狭間を漂う人たちの、切ない物語。 『金のキツネと銀のキツネ』苹果 街に遊びにやって来た、二匹のキツネ。日暮れの後の街は怖くて、だからこそ二匹のキツネは手を取り合います。 心がきっとぬくくなる、キツネたちの友情の物語です! A5 64ページ