まんぷく荘のにぎやかな夕餉 第6話 お昼飲みの罠
- 260 JPY
ご覧いただきありがとうございます( ̄∇ ̄*) 「まんぷく荘のにぎやかな夕餉 第6話 お昼飲みの罠」 同人誌で展開するシリーズの第6話です。 大家さんが店子さんの家に晩ご飯を食べに来るまんぷく荘。 大家さんが主人公の家に来る月曜日。 大家さんが大変な目にあったお昼飲みでのちょこっとした愚痴。ほっこり。 ・文庫サイズ/20ページ 第0話が無料DLできますので、よろしければご覧くださいませ。 https://ee-na.booth.pm/items/3203576
おためし読み
(略) 今夜のおこんだては三品。ひとつはいかと里芋の煮っころがしである。和食定番の一品だ。 皮を剥いた里芋はしっかりとお塩を擦り合わせてぬめりを取り、水で洗い流す。下処理を終えた里芋をお出汁でことことと煮て、味付けはお砂糖とみりん、日本酒とお醤油である。 いかは煮過ぎると硬くなってしまうので、仕上げの五分ほど前に入れて火を通す。いかは下処理済みのものが売られていたので、それを買って来た。家では輪切りにすれば良いだけである。 ほっくりと煮上がった里芋にぷりっぷりのいか。優しい煮汁を蓄え、滋味深い味わいとなっている。 二品目はかぼちゃとクリームチーズのサラダだ。レンジで加熱して柔らかくしたかぼちゃの粗熱を取り、クリームチーズと混ぜ合わせ、無糖ヨーグルトとお塩、こしょうで味付けをした。器に盛って乾燥パセリで彩りを添える。 甘いかぼちゃと少しの酸味を持つクリームチーズが合わさることでさらなる旨味を生み、ヨーグルトがふたつをまとめ上げている。 もう一品は簡単に野菜サラダである。これはカットサラダを中鉢に盛り付けただけというお手軽さ。だがこういうのはレタスや玉ねぎ、きゅうりやとうもろこしなど、お家だと少しずつ用意するのが大変なお野菜がバランス良く入っているので、とてもお役立ちなのだ。 洗浄もされていて袋から出したらそのまま食べられるという便利さなので、結麻もたまに利用している。ドレッシングは冷蔵庫に常備してあるイタリアンとごまを出した。スーパーでお手軽に買える有名ブランドのものだが、結麻のお気に入りのふたつである。 「あらぁ、今日は和と洋なのねっ。美味しそ〜」 円香さんはダイニングテーブルに並べたそれらを見て、嬉しそうに巨体をくねらせた。性同一性障害、オネエの円香さんのその仕草は、その辺の女性よりもよほど女性らしい。 (略) 「その昼飲み、メンツは円香さんと同じ様な方々の?」 「そうそう。お酒のお席でもお昼だったら大丈夫だと思って、それで思い切って参加してみたんだけどぉ、疲れただけで終わっちゃったぁ〜」 それはとても残念だっただろう。円香さんはただお友だちを作りたかっただけだろうに。結麻でも昼飲みでそこまで醜態を晒す様な飲み方には繋がらないのだが、それもやはり人それぞれなのだろう。円香さんはたまたまそういう集団に当たってしまっただけなのだ、きっと。 「大変でしたね」 そう労わると、円香さんは「本当にねぇ〜」と苦笑した。 「もうお酒のお席はこりごりよぉ〜。私にしては思い切ってみたんだけどねぇ〜。やっぱりお茶のお席が良いわねぇ。またコミュニティ探してみるわぁ」 いつでも明るい円香さんだが、もちろん悩みだってあるだろう。それはきっと結麻を含め、まんぷく荘の面々には言いづらいことも多いのだと思う。 昨今は世間に、性的マイノリティの人たちへの差別はいけないという空気がある。だが同じ境遇の人同士でしか分かり合えないものはある。それは男心、女心の区別と同じものだ。決して特別なものでは無い。慮ることはできても、本当に理解することはきっと難しいのだ。 結麻にしてみれば、いつでもお話ぐらいお聞きするのスタンスなのだが、厳しいところもあるのだろう。結麻は円香さんに自分の気持ちを伝えた上で、静観しているのである。 続きはぜひ本でご覧くださいませ。よろしくお願いします!( ̄∇ ̄*)