三上於菟吉「血闘」
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『雪之丞変化』だけじゃない! 日本のバルザック、三上於菟吉の描く 最初の長篇探偵小説!! 初出 →『雄弁』大正13(1924)年11月号~大正14(1925)年9月号 新書版197ページ・解説 湯浅篤志 (ヒラヤマ探偵文庫24 2023年1月発行) ★老実業家、大川信兵衛は、丸の内の帝京ビルディングの二階の角部屋にあるオフィスで関東大震災に遭遇した。秘書の山口詮一とタイピストの藤村なみ子がいっしょである。地震の大きな揺れとともに、デスクに座っていた大川のところへ天井が崩れ落ち、コンクリートの破片と鉄材によって、大川は押しつぶされてしまった。さいわい山口と藤村なみ子は助かったが、山口は亡くなった大川社長のポケットから黄金色の鍵束を抜き取った。それを目撃したなみ子。山口は彼女を始末しようとしたが、再び大きな揺り返しがやってきた。二人のところにも、コンクリートの塊が崩れ落ちてきたのである。――山口は無事だった。しかし、なみ子の姿が見えない。山口はこの機を利用して、大川社長の莫大な資産を乗っ取ろうと考えたのだ。 そんなとき、大川の息子芳一がアメリカで生きていて、帰国するということが新聞報道される。山口は芳一を無き者にしようと思い、秘密結社鉄血団の堀江を訪ねた。堀江は、芳一が帰朝する船の大洋丸に乗り込むが、そこへ現れたのが、アメリカで浪人をしていた細沼冬夫という男だった。さらに大川のところへは「キケンアリ、ケイカイセラレヨ――センチウモユダンスルナ N・F」という不思議な無線電信も届けられた。
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