疑問の犯人
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白浜潮花は、謎の作者である。表題作「疑問の犯人」は、『キング』大正14(1925)年10月~11月号に掲載された探偵小説である。その前月の『キング』広告には、作者が森下雨村と掲載されていた。しかし、掲載された作品には、白浜潮花とあったのだ。はたして、その正体は誰なのか? 初出 『キング』大正14(1925)年10月~11月号 A5判58ページ・編集 湯浅篤志 (大正時代の不思議小説パンフレット03 2024年12月1日発行) ★「疑問の犯人」は、無名探偵の探偵活劇である。無名探偵とは、警視庁でも手をこまねいている、捕まえられない犯人を、あっという間に捜し出してくる凄腕の探偵である。名前を明かす必要がないということで、無名探偵と呼ばれていた。無名探偵とは、いったい誰なのか。探偵狂の玉井少年には、「生きたシャーロック・ホームズ」と呼ばれていた。 米国から帰国した桂井氏は、日比谷ホテル付属の文化式アパートメントの三階四階を借りて、玉井少年を給仕にして自由気ままの生活を送っていた。ある日、同じアパートの二階で行われるパーティに出席するために姿見の前でネクタイを結んでいた。上衣を取ろうとしたとき、銃声のような音を聞いた。まさか、こんなときに、ピストルなんぞ、ぶっ放すはずがない。いかん、いかん。神経の使い過ぎか……再び、姿見に向かったとき、鏡の中に人の拳が映っていた。誰かが外の非常梯子を攀じ登ってきて、窓枠に手をかけて、部屋に入ろうとしていたのだ。
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