ある刑事の冒険談
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本書は、Recollections of A Detective Police-Officer Second Seriesの全訳である。 ヒラヤマ探偵文庫既刊の『ある刑事の回想録』の続刊として、一八五九年にロンドンのW.Kent社版から出版された。その内容は以下の通りである。 Mark Stretton The Dramatic Author The Two Widows Mrs.Witherton The Orphans Helen Forsyth "Found Drowned" Fire-Raising... 今回の翻訳の底本とした一八七五年のWard Lock and Tyler社版は、一八五六年と五九年の二冊の内容を合わせた ものである。著者はウォーターズ名義になっているが、前書きは「C・W」となっていたりして、統一がとれていない。実際の著者はウィリアム・ラッセル(一八〇六~七六)という作家であり、ペンネームとしてウォーターズ やトーマス・ウォーターズとも名乗っていた。彼はチェンバース・エジンバラ・ジャーナルやロンドン・ジャーナルを舞台に活躍していた。他の作品として、Leaves from the Diary of a Law Clerk (1857)や、Autobiography of an English Detective (1863)がある。 一部では、シャーロック・ホームズ・シリーズが、初めての同一主人公の連載読み切り短編探偵小説シリーズで あり、そのおかげで人気を博すようになったとも言われているが、実際にはこのシリーズのように、すでに連載読 み切り短編という形式は存在していた。しかもチェンバース・エジンバラ・ジャーナルはコナン・ドイルの生まれ 故郷エジンバラで発行されていた雑誌なのだから、彼が子供の頃に手に取っていた可能性もある。(もちろんコナン ・ドイルは一八五九年生まれなので、もし読めたとしても古雑誌だったかもしれないが)。ただ毎月毎号掲載された わけではない。もっともそれくらいしかホームズ・シリーズとの差はない。われわれが知らないだけであって、歴史は黙って繰り返されているのではないだろうか。