ふたり【短編集】
- Digital0 JPY

【ふたり】*短編集 【またいつか。】 何度目かの決別を経ても、俺とお前は同じ部屋で暮らしていた。怒らせるのはいつも俺で、だけど謝るのはいつもお前だった。売れない小説家のお前だが、ある喧嘩の果てに書き上げた一本の小説が、劇的に俺たちの関係を動かすことになる。人生の安寧と成長を考える、小さな部屋での話。 【黄泉についてから】 自分の人生について最も考えるときはいつだろう。生前の罪や、家族との向き合い方、打ち明けられずにいるままの嘘、はたまた、したくもない後悔。思い出したくないことから、ずっと抱えてきた奥底のことまで、黄泉についてから、ようやっと私は自分自身について向き合う。 【再生】 家出をすることにした「私」と「彼女」。きっかけとは些細なものだが、二人の人生とは切っても切り離せないものだった。生まれ育った真っ白な施設を飛び出して向かうのは、世界の果て。自分たちのこと、施設が存在した理由、生きていく意味。二人の少女が育妙な秘密を連れ添って果てるまでのSF。 【その一夜を買わせて】町の劇団で演者をこなしている女子高生の「私」 は、叔父が経営しているバーで一人の男と出会う。かつて歌手として成功を収めていたの彼は、「私」に強引に誘われ、歌とダンスのレッスンに付き合うことになるが......。失ったはずの情熱に再び火を灯す、一つの舞台と一つの出会いが作り出す最高の一夜。 【僕の忘れたこと】弟が事故で死んでから五年、僕は故郷に戻っていた。変わらない町の人々に安猪する一方、弟の影を埋められずにいる両親と顔を合わせるには、未だ気が伴わずにいた。生き残った者が、癒えぬ傷で五年間向き合い続けた、「死」への価値観の答え合わせをする短編。 *各約2500字/あとがきなし + + + + 【解説】 以前に書き始めだけ書いた文章を書き起こした、全5編の短編集。