ラベンダーフォビア
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嘘じゃない嘘をつくとしたら「これは、単なる恋愛小説です」 こんな読書体験、探していた人へ。 この小説には、大きな事件も、派手な展開もありません。 でも読んでいるうちに、ふしぎと感情の奥に引きずり込まれていく。 “物語を追う”のではなく、自分の感覚の底に沈んでいくような読書体験です。 色彩と感覚が交錯する現代の心理小説。 『ラベンダーフォビア』は、若者たちの友情と愛、そして「純粋さ」を巡る物語です。主人公・麻莉花の視点を通して、人間関係の複雑さと内面世界の機微を繊細に描き出します。 クラブハウス「シャクティ」を舞台に、インディーバンド「モノクロームフォビア」のメンバーたちとの交流を軸に展開するこの小説は、色彩のモチーフを巧みに用いながら、若者たちの孤独と結びつきを鮮やかに表現します。 人は何故惹かれ合うのか。「純粋な共鳴」とは何か。他者との本当の繋がりを求めながらも、自分自身と向き合わざるを得ない主人公の姿を通して、現代を生きる私たちの内面に光を当てる作品です。
あらすじ
大学進学を機に東京へ出た麻莉花は、バンド〈モノクロームフォビア〉のギタリスト・理玖と出会い、やがて恋人となる。だが、その関係のなかで、自分の輪郭が溶けていくような感覚と、沈黙のなかでしか確かめられない繋がりに、彼女は深く沈んでいく。 クラブ〈シャクティ〉をはじめとする街の虚構的な夜の景色、毒と純粋が共存する人間関係──朱音、ユナ君、ナツ君──そのどれもが麻莉花の内面を反射し、揺らし、静かに削ってゆく。 この物語は「恋の始まり」ではなく、「関係のかたちが崩れていく過程」に焦点をあてている。 言葉にできないまま愛し、手放せないまま沈み、それでもなお誰かと繋がろうとする、ひとりの少女の感覚の記録。 “これは、恋を描いた小説ではない。 恋という現象を通して、自己の輪郭と再構築を試みる物語である。”
詳細
ページ数:224p ジャンル:純文学 内容:恋愛・人間関係 サイズ:B6 装丁デザイン:cot 装丁:シルキーピンク箔押しあり
総評
「感情」でも「物語」でもなく、"沈黙のなかにある認識"を描こうとする小説は、現代の文学シーンではほとんど見つからない。 文芸作品の多くは、以下のような形式に分かれます: ✅ A:異世界・神話・象徴で世界観を魅せるもの ✅ B:恋・再生・エモーションで感情を引くもの ✅ C:視点や主張で社会とつながるもの ✅ D:断片や詩的構造で語りの実験を試みるもの 『ラベンダーフォビア』は、そのどれにも分類できません。 この作品は、ただ"語られる"のではなく、 読者のなかで **"沈黙として反響する"**ように書かれています。 愛、記憶、すれ違い──そのどれもが説明されず、輪郭を持たず、 それでも確かに「そこにいた」と読者に感じさせる力を持っている。 形式ではなく、読後に残る"沈み"そのものが、文学的価値になっている小説。 「こういう小説を読みたかった」と、 言葉にしづらい何かをずっと探していた人のための一冊です。