小学2 年生から高校卒業まで約10 年選手として野球をプレーした著者が、市井の野球人生を振り返る野球エッセイ。選手として過ごした日々と、卒業後文学部に入り真逆の環境で過ごして変わった価値観について綴る。 この本は究極に「野球」についての本ですが、本当は野球についての本ではないのかもしれない。 以下、本文より。 この世界は相反するものだらけで構築されている。それは投球においては緩急であり、勝負においては明暗であり、人柄においてはギャップであり、気の持ちようにおいてはネガポジであり、人生においては生死である。いつだって、真逆の要素がこちらに向かってくるのが生きるということ。 両方ある。なんかピッチングみたいだ。いろいろなものを愛するわたしの人生は、時に強度の高い野球という運動であり、時に机に座ってPCに向かい続ける日々である。そのどちらも自分、ということは——緩急。速いも遅いも、わたしが直面した人生。そしてそれはわたしだけではない。野球と文化でないにしろ、みんな、そういう表裏を抱えて生きているでしょう? それをわたしは、野球をやっていたから、投手だったから、緩急と呼ぶにすぎない。