詩集『スパーク』
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地層のように肯定を、肯定を積み重ねて 💫クローゼットに並ぶ服が似合わなくなるみたいに、自分が誰だったのか分からなくなった春。陽射しのなかで、誰かの背景になっていた夏。やさしさが遠ざかるほど美しくなる秋。唇に光が溜まり切るまで、地層のように肯定を積み重ねた冬。 忘れてしまった顔を思い出すための詩集。 💫8/6まで送料無料です 💫詳細情報 著者 四塚麻衣 装画 ちなみ 装丁 飯村大樹 協力 小林うみ H.K ページ数 100ページ 判型 四六版変形 上製本 発行日 2025年7月12日 💫推薦文 そっと日常を撫でるような言葉だ。虚栄心や尊大さからは程遠い、静穏な心。物事の真理を見つめ、日常のあわいに見え隠れする、深い孤独や命の終わりのような事象からも目をそらさない。それが四塚さんの詩だ。「いつか、/私を/棺へ入れるとき/人差し指には/ガーネットの指輪をはめて/そして/傘をひとつ持たせてほしい」(「定点」、第一詩集『定点』)。 今作も、優しく、温かい音の連なりに満ちている。しかし、若さが生の現実に衝突する瞬間に、錯綜するまま形を与えられたような言葉も中には見られる。「清潔な台所で/すこし、腐らせてしまった/果物/やさしくなれない/半分ずつ食べて/やっぱり/吐き出す。我慢できずに」(「顔を忘れる」) 『定点』の魅力はそのままに、静穏さの奥に眠っていた、激しい音が聞こえる。「一番似合う服を着る」ことを目指す指標の一つにしたと聞けば、そんな表現を残したような作品の存在にも合点がいく。 詩人は、内に秘めたものを放電した。この本には火花が散り、光が漏れ出ている。「長い、長い手紙を書く/予定のない/春がこれから訪れる」(「包路線」)——不確かな季節を言葉で乗り越える。四塚さんの光はまぶしい。 今枝孝之/SLOW WAVES主催